この 記事はフィリピンを拠点とする独立系ニュースウェブサイトであるManila Todayにシリアコ・サンティアゴⅢがフィリピン語で執筆した記事を、許可のもとにグローバル・ボイスに転載した。英訳はカルロ・モンガヤによる。
2020年1月12日、フィリピンのタール山は水蒸気爆発を起こした。水蒸気爆発とは、地下水の温度が高まり、火口から煙が放出されることである。タール山は、首都マニラの南に位置する世界最小の活火山のひとつだ。
この噴火により首都マニラの南に位置する南タガログやメトロマニラ、首都マニラの北の中部ルソン地方などの近隣都市へと火山灰が降り注いだ。このため、ニノイ・アキノ国際空港に離発着するすべてのフライトが欠航となった。
さらに、南タガログ、メトロマニラ、セントラルルソンにあるいくつかの都市では病院、緊急対応などをはじめとした最前線でのサービスを除き、すべての学校と行政窓口が1月13日から14日にかけて閉鎖された。バタンガス州、カビテ州、ラグナ州の学校は、発生から4日目となる現在も閉鎖されたままだ。
噴火の翌日となる1月13日になって、フィリピン火山地震研究所は、今後タール山がマグマを伴う噴火を起こす可能性があるとして警戒令を 発令した。
災害リスク削減管理委員会によると、この噴火により3万人以上の住民が影響を受け、バタンガス州およびカビテ州からの避難を余儀なくされたと推定される。バタンガス州の災害リスク削減管理事務局は、すでに3万3千人の住民が避難所に避難していると発表した。なお一時的施設などへ自主避難をした住民は、この人数に含まれていない可能性がある。
噴火に関する警告と防災体制の不足について、住民からは強い非難の声があがった。多くの住民は、火山性地震と噴煙の危険に曝されながら、自力で避難しなければならなかった。観光客を火口へ運んでいく役割を担っていた数百頭の馬などの動物たちをすぐに連れ出すことができず、それらは火山島に置き去りにされた。他の動物たちもひどい降灰によっておそらく命をおとしたと思われる。
サン・ニコラス町の住民は、1月12日午後3時頃にタール山が噴煙を上げ始めると、避難を開始した。
1月12日土曜日、タール山から噴出される噴煙は一層濃くなった。
タール山を囲むコミュニティの住民にとって、漁は生計を支える主要な産業だ。タール湖固有で現在絶滅の危機に瀕している魚タウィリスおよそ15,033トンが、この噴火の影響下にあると推測される。
噴火の2日目、バタンガス州アゴンシーリョの集落では、前の晩に住民が避難した後、動物たちの足跡だけが残されていた。
残された家畜や生活のつてを探すために島へと戻ってきた住民もいる。
メルヴィン・オカンポは、一晩中続いた降灰のせいで汚れた彼の馬プリンセス・ラブ・ブンガの体を洗い流してやった。
キナラグラガンやマタアスナカホイの住民は、噴火が継続する2日目にも関わらず生活や仕事を続けている。
噴火の2日目、タール山から噴き出す煙はいまだ濃い。