見た目ほど愛らしくはない中国の放浪ゾウの群れが出現!

「Xinhua's video」の画面より

15頭のアジアゾウは、中国のインターネットで最近有名になり、中国政府が目指している「愛される中国」という新しいイメージを広める最も成功した大使となった。しかし、自然保護活動家たちが説明するように、一見美しい物語のように見えても、実際には拡大し続ける経済活動の結果である。

象の群れは、4月中旬に中国雲南省のミャンマーとラオスの国境近くにあるシーサンパンナ国立自然保護区の生息地を離れた。

それ以来、象の群れは十数台のドローンと複数の警察官に護衛されている。5月からは中国中央テレビ(CCTV)が、彼らの日々の活動をライブストリーミングで配信している。

ゾウがどこに行きたいのか、誰にもわからない。

ゾウの群れは500キロ以上も北上し、6月6日に昆明市の郊外に到着した。その後、護衛により与えられた果物に誘われてUターンし、南下を始めた。

雲南省での象の群れの旅。CCTVのニュース画面より

この2週間、象たちの食事や泥風呂シーン、昼寝の様子などの映像が中国のソーシャルメディアに流れ、海外の著名メディアにも取り上げられた。

愛される中国

この象の話は、ソーシャルメディアでの自然発生的なブーム以上のものである。

サイト「新浪(シナ)」に投稿された以下の記事は、放浪する象の群れのライブストリーミングは近年の中国で最も成功した宣伝活動であると指摘し、広く拡散した。

中国人这样善待动物,还怎么中国威胁论?[…]如果在其他国家,这会发生什么?譬如,在印度,野象进村的事件就经常发生,看到有报道,野象遭到村民放火驱赶,有村民甚至将轮胎烧着扔向野象……但中国真没有。中国人看着大象,就像看着自己的孩子。

对很多外国人来说,正是看着这15头大象,他们才终于知道,以前知道的中国,至少是不全面的 […] 这种变化,在当前西强我弱的国际舆论环境下,可能是1000篇檄文、1万次怒骂,都达不到的效果。[…]

中国人の動物に対する優しさは、中国の脅威についての意見を無効にするだろう[略]
もしこれが他の国で起こったとしたらどうなるだろうか?
例えば、インドではどうだろう。村人が火を使って野生の象を追い払ったという報告を見たことがある。中国人はそのようなことはしない。彼らは象を自分の子供のように扱っている。[略]

外国人が15頭の象を見た時、中国に対する認識が偏っていることに気づく[略]
このような認識の変化は、1,000回の強い発言や、1万回の口論では得られない。

「ゾウでさえ中国が良い国であることを知っている」、このような話は中国の習近平国家主席が中国に「愛される」イメージを求めていることに対する完璧な答えであると、この記事の筆者は結論づける。

習近平は6月2日、中国共産党幹部に「信頼され、愛され、尊敬される中国」のイメージを提示するよう指示し、中国共産党の外交手法の変化を示唆した。

中国外務省の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官が、象の泥風呂の動画をツイッターに投稿した人々の中のひとりだったのも、不思議ではない。

雨の中、泥んこになって遊んでいます。#Yunnan (雲南省)の15頭の野生のゾウは、現在、帰路についています。ここ数日続いている雨のおかげで、彼らは泥ぶろに入ることができました。

しかし、一部の「微博(ウェイボー)」ユーザーは、この象の物語が長い目で見て幸せなものになるかどうかを疑問視している。

云南的大象下山,人们不是驱赶大象,还给大象投食投水,疏散村民。实际这种做法是不对的,以后大象习惯了,会经常下山扰乱人们的正常生活与生产,甚至造成人员伤亡。应该对大象进行驱赶,让大象觉得下山是危险的…

ゾウが山を離れるとき、人々はゾウを追い払うのではなく、水や食べ物を与えていた。村は象の群れに道を譲るために、立ち退いたが、このような行為は正しくない。ゾウがこれに慣れてしまうと、好きな時に村に入ってきて、さまざまな被害や死亡事故さえ起こす可能性がある。人々は象を追い払い、山から出るのは危険であることを象に知らせるべきだ。

脅威にさらされる野生の生息地

現在、ゾウの群れは842ムー(560平方キロメートル)以上の農地を破壊し、680万元の経済的損害を与えている。中国政府は村人の損失を肩代わりすることを約束したと、国営テレビ局フェニックステレビジョンの報道が伝えている。

2017年に、科学者たちはシーサンパンナやプーアルなどの林業地域で、プランテーションの拡大により自然林が減っている事を問題視した。

ゴムのプランテーションに加えて、2003年以降のプーアル茶産業の成長により、商業用の森林プランテーションが拡大し、人間と象の衝突が増加している。

アジアゾウの研究をしている野外生物学者のリー・ジャン教授は、放浪する群れは新しい自然の生息地を見つけて落ち着こうとしていると説明した。

国営の人民日報に語ったところによると、過去20年間に商業用森林プランテーションの拡大により、各地に点在していたアジアゾウの生息地は40%減少したという。

同じ時期に、中国におけるこの保護種の個体数は193頭から300頭に増えている。

「微博(ウェイボー)」の投稿で、ジャン教授は詳しく説明している

大象为什么离家出走?光讲政治是解决不了问题的,要尊重科学!首先要肯定保护取得的成效,随着人们保护意识的不断提高亚洲象种群在稳步增长;但是不容忽视的是地方经济快速发展对野生动物栖息地丧失和破碎化造成的严峻现实。绿水青山就是金山银山,健康完整的生态系统才是经济可持续发展的基石……

なぜゾウは元の生息地から離れているのか? 宣伝活動では解決できない。科学を尊重しなければならない。保護活動の成果や、アジアゾウの個体数が増えたことには注目しなければならないが、急速な経済発展が野生動物の生息地の消滅や分断を招いているという現実を無視することはできない。緑の水と山は「金(きん)」のように貴重で、健全な生態系は、持続可能な開発の基本だ…

ジャン教授は、象が人里に迷い込むのを防ぐためには、野生動物が生息する自然林を拡大してつなぐことで、保護活動を強化する国立公園制度の構築が必要だと強調した。

ジャン教授の投稿に対する反応の多くは、メディアの関心が去った後、動物たちがどうなるかに焦点を当てている。

大耳朵猫妹はTwitter上でこう語った。

(ツイッターの@big_ear_catさんのコメント引用)

やっと専門家が群れの北上について説明してくれた。地元の関係者は真実に触れることを避けていて「道に迷った」、または「自然保護区がうまく機能して象が増えすぎた」と言っていた。公式のメディアはすべて、エンターテインメントを優先したアプローチをとっている。私はゾウを見る勇気がない。彼らは家を失ってしまったのだから。人々がゾウの群れを見ることに興味を失った後、彼らの運命はどうなるのだろうか? 真実が語られた今、当局はメディアの前から象たちを消し去りたいのだろう。


校正: Minako Enomoto

コメントする

Authors, please ログイン »

コメントのシェア・ガイドライン

  • Twitterやfacebookなどにログインし、アイコンを押して投稿すると、コメントをシェアできます. コメントはすべて管理者が内容の確認を行います. 同じコメントを複数回投稿すると、スパムと認識されることがあります.
  • 他の方には敬意を持って接してください。. 差別発言、猥褻用語、個人攻撃を含んだコメントは投稿できません。.