ホンジュラス:チャーターシティがガリフナ族コミュニティを脅かす

ポルフィリオ・ロボ政権は、先日 Group MGK [en] との協定に署名 [es] し、大きな議論を生んだ。その協定は、ホンジュラスで特別開発区域(REDs)と呼ばれるチャーターシティ [en] の一種を実現するというものだ。

Libertopia underground [en] のRyan William Nohea Garciaのような一部の人々は、この計画を歓迎する。

やった!ホンジュラスのRegiones Especiales de Desarrollo (訳注:2013年1月6日現在リンク先切れ) (特別開発地域(REDs))が正式なものになった。(ニュースのまとめ:ここ [en] とここ (訳注:同リンク切れ)、ここ(訳注:同リンク切れ)にも。)REDsは、個人の権利を保障し、安定した規定や法制度を実現し、よりスムーズな移住手続きを実行することで、革新的な政治的・法的システムをもたらすホンジュラス内に設けられる特区だ。これはホンジュラスにとって素晴らしいニュースであり、フリーシティ運動にとってはさらに大きなニュースだ。このブログ記事は、国内の、原住民の強い反対(訳注:同リンク切れ)にも屈さずREDsの計画に賛同し、その実現に向けて行動しているホンジュラス政府メンバーを評価し、称える。

REDsは人の住んでいない土地にしか建設できない。しかしホンジュラスの場合、24のガリフナ族 [en] コミュニティが住みかを追われる可能性がある。ブログ Being Garifuna [en] は説明する。

"Because I was made in Honduras, I say NO. Join the protest against the traitors of the country, those who want to sell your country piece by piece, those who don't respect the constitution of your country, those who don't respect you!" Poster by Anonymous Honduras. No rights reserved.

「私はホンジュラス人、だからノーと言う。国を裏切る者たち、君の国を切り売りしようとしている者たち、君の国の憲法を尊重しない者たち、君を尊重しない者たちに対する抗議に参加しよう!」アノニマス・ホンジュラスによるポスター。いかなる権利も留保しない。

ガリフナ族は、セントビンセントで共に生活していたアラワク族、カリブ・インディアン、そして難を逃れたアフリカ奴隷の子孫たちであり、固有のアフロカリビアン民族だ。ホンジュラスの北海岸に住むガリフナたちは、何十年にもわたって、大型観光プロジェクト、巨大ホテル、バケーション用ゲーテッドコミュニティなどの建設を企むがめつい投資家たちの目から自分たちの土地を守るために苦しんできた。独立したビジネス・フレンドリーな都市国家を北海岸に作り出すことを目的にする「チャーターシティ」計画――ニューヨーク大学の経済学者ポール・ローマーの発案――は、彼らの最大の脅威の一つである。

複数の報告によると、これらの土地は1804年から [es] ガリフナ・コミュニティが所有している。Upside Down World [en] のTim Russoは、ホンジュラス黒人友好機構(OFRANEH)代表のミリアン・ミランダの発言を引用する。

バジェシートは、ホンジュラスのチャーターシティの構想と建設計画が進められている中心地である。だから、私たちはただ組織犯罪に反対しているだけではない。私たちの土地に関して――私たちに相談なく――意志決定をする政府に反対している。

現在、200以上の家族がホンジュラスのカリブ海沿岸にあるバジェシートに住んでいる。そして彼らの声は、その合意の署名に際して考慮されることはなかった。

この計画は、ポール・ローマーの創案だ。ローマー氏とその他の専門家は特別開発区域(REDs)透明性委員会メンバーに指名された。これは、REDsの統治機関として機能するはずであった。しかし、この委員の指名がいまだに確定しない [en] 中、計画自体の透明性と説明責任に疑いが浮上している。指名を受けた透明性委員会を欠いている現在、計画進行の透明性を保証しているのはホンジュラスの議会だけだ。

多くのブロガーが計画を批判し、政府に対して、海外企業ではなく地元小作農や農場経営者 [es] を尊重するよう要求した。その他にも CapoSud [es] などは、当該土地の主権を譲り渡すことは違憲だと述べた。さらに、トニー・モロニー [es] のようなブロガーたちは政府は土地を切り売りしていると主張し、Analisis Afrodescendiente はこの計画を2009年のクーデター第二段階 [es] と表現した。

アノニマス・ホンジュラス [es] は、#OpEstadoFallido (失敗国家作戦)を立ち上げ、政府の複数のウェブサイトを乗っ取った [es]。また、Avaaz [es] にはRED計画実施予定地の保護を呼びかける請願書もある。また他にも、別の請願書(英語)は、GoPetitionに掲載され、OFRANEHによって宣伝されている。説明はこうだ [en] 。

公示によれば、REDはガリフナとミスキートの人々が先祖から受け継いだ土地である北海岸に建設予定である。これは彼らの人権、文化、社会、経済の権利を侵害する。原住民の土地の権利に関する国際法と法的枠組み――ホンジュラス政府が署名した数々の法律文書を含む――は、これらの権利を認める。法律の優先順位によれば、彼らの申請は優先されなければならなず、そしてそれは義務である。

この計画に懐疑的なのはホンジュラス人だけではない。オックスファムの戦略アドバイザーのダンカン・グリーンは、懸念 [en] を示し、世界で最も腐敗した国の一つである同国ではこの仕組みは機能しえないと指摘する。

計画は、Conscious Capitalism [en] というプロジェクトの設立者であるMichael Strongが指揮をとる。彼は、この計画はポジティブな結果をもたらすと主張する [en] 。繁栄、職、そしてよりよい生活の質だ。

しかし、コミュニティは既にこの計画の損害を実感している。

Garífuna Lands,  by Renata Avila under a Creative Commons Attribution License.

レナータ・アビラによるガリフナの土地の写真。クリエイティブ・コモンズ・アトリビューション・ライセンス

ホンジュラスでは、暴力と超法規的殺害が増加している。9月の間に、人権活動家のアントニオ・トレホ・カブレラとマヌエル・エドゥアルド・ディアス・マサリエゴスが殺された。この二つの殺人は関連性がないものの、気がかりな事実だ。トレホは特別開発区域に反対し、小農民とガリフナ [en] のコミュニティを擁護する弁護士だった。

米州人権委員会は説明する [en] 。

2012年9月24日、チョルテカ県の人権の特別検察官であるエドゥアルド・ディアス・マサリエゴスは、バイクに乗った身元不明の二人組に11発の銃弾を撃ち込まれて殺害された。ホンジュラス南東にあるチョルテカ市の検察官オフィス付近でのことだ。

2012年9月22日、何者かがテグシガルパのアントニオ・トレホ・カブレラを撃った。これにさきだって彼は殺しの脅迫を複数回受けており、当局に報告していた。アントニオ・トレホ・カブレラはMovimiento Auténtico Reivindicador Campesino del Aguán (MARCA)(訳注:真正のアグアン農民の要求運動)の法定代理人で、バホ・アグアン地域の農民コミュニティ協同組合の権利を擁護・推進していた。

この数日前、人権オブザーバーの外国人グループは、同じ地域で武装し顔を隠した男たちに 脅迫された [en] 。

アムネスティ・インターナショナルもこの殺人を非難し [en] 、民間人による暴力と性的虐待の増加に懸念を示した。

バホ・アグアンで地主や企業に雇われた民間の警備員たちは、地元農民への脅迫、レイプ、その他の暴力行為などを含む一連の人権侵害を問われている。

アグアン統合農民運動(MUCA)――トレホが擁護していた農民運動――の反応は大きかった [en] 。

アグアンの農民運動は、この卑しい殺人を強く非難する。彼は仲間を守る戦いの中で、発砲され殺害されてしまった人たちのリストに名を連ねてしまった。トレホはたびたび、脅迫を受けたとメディアに告発しており、彼や彼の家族に対するあらゆる襲撃はバホ・アグンの地主によるものとしていた。

トレホはサンイシドロ、ラ・トリニダッド、エル・デスペルタールの協同組合で法的問題を扱っていた […]

アグアン農民たちは彼と結束しており、彼の家族、妻、子どもたちに深い哀悼の意を示した。

声明は続く。

トレホ殺害は、アグアンに住む権力者の集団と、この国の意志決定をする人々からのメッセージであることに疑いの余地はない。

トレホ [es] の助けがなくなった今、コミュニティーは法的・物理的脅威にさらされ、状況はますます複雑になっている。協定が署名された以上、市民社会からの反対にも関わらず計画は進行するだろう。そして、住民たちは約1世紀住み続けた土地から追い出されるであろう。

さらに、この計画を認可するための憲法改正が現在進行中である。Human Rights Watch [en] が報告するように、トレホは、政府が署名した特別開発区域の協定の有効性を問う違憲訴訟の書類を準備していた。彼は2012年8月21日、最高裁判所前での農民たちの平和的抗議に参加した。警察による鎮圧のあと、彼は逮捕された。

特別開発区域に反対する22の未解決の案件がある。これらのほとんどがコミュニティやホンジュラスの市民社会メンバーが提出したものだ。Civil Society Truth Commission のリーダーであったカトリック司祭のファウスト・ミジャ [es] もその一人だ。ホンジュラスは法的な独立を享受していない。むしろ、フランク・ラ・ルエ言論・表現の自由特別報告官が最近の訪問レポート [es] で指摘するように、その仕組みはひどく腐敗している。

いずれにせよ、ホンジュラスの最高裁判所がこの計画の未来を決定づける。(訳注:2012年10月、ホンジュラス最高裁判所はREDsが違憲であると判断。同年12月に議会が最高裁判官を弾劾するという事態に発展している。)

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