(原文掲載日は2013年7月8日です)
米国国家安全保障局の元局員、エドワード・スノーデンが米国および英国政府による大規模な監視策を暴露してからというもの、彼の物語は続いている。
スノーデンの行動には賛否両論がある。米国の安全を危険にさらす反逆者として、彼を非難する人がいれば、個人の自由のために戦う存在として、彼を支持する人もいる。
スノーデンの行く末はまだ決まっていない。この記事のオリジナルがスペイン語で書かれた時点(2013年7月3日es.globalvoicesonline.orgにて)では、彼はモスクワのシェレメーチェヴォ空港におり、キューバ、ドイツ、オーストリア、中国など 約20の国に亡命申請を行ったと伝えられている。(2013年7月8日追加事項 ボリビア、ニカラグア、ベネズエラが亡命受け入れを表明。2015年11月現在ロシアに滞在中。)当初スノーデンはエクアドルへの亡命を希望していたが、エクアドル政府はここへ来て、彼の要請に応えるのか、曖昧な態度を示している。ここでやはり、多くの人が疑問に思うのではないか。なぜエクアドルのような国へ行くのを希望するのか。長い間報道の自由が制限されてきたような国へ?
スノーデン自身は、自分のことを不正に対して我慢できない人物と表現している。実際、彼はイラク戦争の間、従軍することを決めていた。その時、「人々を弾圧から解き放つ人間としての義務を負っているように感じた」そうだ。しかし両足を怪我し、軍の訓練を完了させることができなかったため、軍隊からITの世界へと移動 した。その後間もなく、コンサルティング企業のブーズ・アレン・ハミルトン社 を通じて、業務請負の形で国家安全保障局(NSA)のために働くことになる。個人の自由を擁護する人はスノーデンをあがめるが、祖国アメリカに対する裏切りだとして彼を責める人もいる。
スノーデンは、アメリカ政府が高いレベルで個人情報にアクセスしていることを暴露することを決めた。情報は、NSAが運営する秘密の電子監視プログラムPRISMを使って取得されていた。現在彼は、知的財産窃盗、国家防衛資料の不当開示、故意による非権限者(今回の件では英国のガーディアン紙と米国のワシントン・ ポスト紙)への機密情報の漏えいにより、告訴を受けている。
スノーデンは、彼の信条に従う国に住みたいと話した。しかし、彼の言葉と行動は必ずしも一致しない。なぜ、インターネットや表現の自由に限りがあることが分かっている国へと逃れ(例えば香港経由でロシアや中国へ)、なぜエクアドルで落ち着こうとするのか?
エクアドルでは、表現の自由を脅かす一際論争を呼ぶ最近の事件として、議員のクレバ・ヒメネス、政治活動家のフェルナンド・ビリャビセンシオとカルロス・フィゲロアが、 政治的演説の中でラファエル・コレア大統領を批判したことにより告訴されている件がある。裁判所は、コレア大統領を勝訴とし、3人を「大統領を侮辱した罪による」有罪判決を下した。フィゲロアは6ヶ月の禁錮を宣告され、ビリャビセンシとヒメネスは18ヶ月の刑を言い渡された。コレア大統領が訴訟を行った際に、裁判所が大統領を勝訴とするのは初めてでなく、激しく批判を行う者たちの意見を制限することとなっている。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告によると、エクアドルの新聞エル・ウニベルソと大統領の間で争いがあった後、政権は、政府批判を行おうとするすべての報道機関に対し、より厳しい制限を課すことになる一連の改革を認めたという。
スノーデンの告発は外交危機を引き起こした。ウィキリークスのジュリアン・アサンジが同様のことを数年前にして以来、このようなことは見られなかった。 (アサンジはエクアドルから亡命を認められている。)米国はエクアドルにスノーデンを受け入れないよう要請。しかし他の南米極左国と同じように、エクアドルは要請される以前から、米国政府の同国への影響に対して難色を示した。
ジャーナリスト保護委員会によると、新しい通信法では、報道の検閲につながりかねない権限が当局に与えられる。さらに、この法律は報道の独占を取り締まろうとするものであるが、同時にジャーナリストにとってはあらゆる種類の制限に対する心配の種となるものだ。法律は「公における信頼を損なう目的による、自然人及び法人への破壊行為の繰り返し」を禁止している。これは、政府当局の不信な動きをジャーナリストが伝えられないようにする決定だ。
最近のプレス・リリースで米州機構は、この法律が「表現の自由の権利の行使を深刻に阻害し、民主主義社会と相容れない大きな萎縮効果を生む」ことになりかねないとしている。新しい通信法に違反したジャーナリストは、民事または刑事制裁を受ける可能性がある。
スノーデンの告発は外交危機を引き起こした。ウィキリークスのジュリアン・アサンジが同様のことを数年前にして以来、このようなことは見られなかった。(アサンジはエクアドルから亡命を認められている。)米国はエクアドルにスノーデンを受け入れないよう要請。しかし他の南米極左国と同じように、エクアドルは要請の前からずっと抵抗しており、米国政府の同国への影響に対して難色を 示した。
もしエクアドルがスノーデンの亡命を認めれば、米国から圧力がかけられるだろう。また、大統領の有名なメディアや個人の自由嫌いにスポットを当て、大統領に別の悩みをもたらすかもしれない。問題がエクアドルを越えてよく知られるようになるからだ。(雑誌マザー・ジョーンズで解説されているように。)もし彼が自分の理想とする自由や透明性に共感する国に住みたいのであれば、エクアドルで暮らすいう希望について、落ち着いて考えるべきだ。