亡命中のタイ人京大准教授の実家に軍事政権が嫌がらせか

画像提供:プラチャータイ(グローバル・ボイス提携先)

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タイの軍事政権を批判して亡命した大学教員がいる。バンコクに残してきた家族は、軍から嫌がらせを受けているという。

パヴィン・チャチャワーンポンパン氏は京都大学准教授で、現在ケンブリッジ大学の客員研究員である。彼のFacebookの記述によると、実家の姉のもとに軍が何度も押しかけ、反軍事政権や反王制の言論をやめさせようとしているという。彼はザ・ディプロマット誌オンライン版掲載の記事で、より詳しいいきさつを書いている。

Apart from sending officers to my home, the military also called up my sister at her workplace twice, ordering her to inform me that if I did not stop discussing the Thai monarchy, my family would have to “pay the price” for my activities outside Thailand. The military also demanded that my entire family in Bangkok report themselves to an army camp, and that, if they failed to do so, there would be another visit.

実家に警官を寄越すだけならともかく、軍は姉を職場で2度にわたって呼び出し、私に伝言するよう命じた。もし私がタイ軍政について論じるのをやめなければ、私の国外での活動に対し家族が「代償を払う」ことになるだろう、と。軍はまたバンコクにいる私の家族全員に、軍基地に出頭するよう要求し、もしそうしないなら、後日再び軍の訪問を受けることになるだろう、とも言った。

パヴィン准教授は有名な軍政批判家である。彼はまた、不敬罪法が反対派を黙らせるために乱用されているとして、一貫して同法の改正を主張してきた。2014年に軍が実権を握った時、パヴィン氏は京都で教鞭をとっていた。軍は何度も彼を呼び出し「態度矯正」を受けさせようとしたが、彼は軍の命令に従うのを拒否した。結局、政府は彼のパスポートを無効にし、そのため彼は日本に亡命を求めざるを得なくなった。

大学教員として、パヴィン氏はタイのクーデターについて多くの国で講義を行なってきた。そして母国が民政や選挙、民主主義制度を取り戻すことができるよう、国際的圧力が必要だということも講義で話している。 2月24日、オックスフォード大学でちょうどスピーチを始めようとしていた彼のところに、姉から「実家に突然兵士が来た」件のメッセージが届いた。

軍事政権が海外に暮らすタイ市民の行動に口出ししようとするのは、これが初めてではない、とパヴィン氏は語る。彼の主張によると、昨年タイ政府は、シカゴやドイツに留学中のタイ人学生らに対し、もしこの亡命教官の講義に出席したら奨学金を停止するぞと通告した、という。

軍事政権が最近行なったこの恐怖戦術に対し、パヴィン氏は援助を求め国際的にアピールしているが、それにもかかわらず、姉の家にまた兵士が来た、と彼はFacebookに書いている。

You have punished me, hunt me (even when I did nothing wrong) — I already found this injustice unbearable. But to go after my family who had nothing to do with me — this is absolutely unacceptable. I will fight against this intimidation to the best of my ability. Don't push me further into the corner!

何も悪いことをしていないのに、私を罰して追いたてる。この非道だけでも既に耐えられないと思っていた。でも、何の関係もない私の家族を追いまわす、このことは絶対に許せない。私は死力を尽くしてこの脅迫と戦うつもりだ。これ以上私を追い詰めないでくれ!

軍事政権の報道官ウィンタイ・スワリー大佐は、兵士がパヴィンの家族に嫌がらせを行なったことを否定している。

I dont think it was done by our officers. I don’t think anyone was threatened. Why would we make any threat? It’s not like we’re going to arrest (the sisters)

政府軍じゃなかったんじゃないですか。誰も脅迫などしていないと思います。なぜ脅迫なんかするんですか。逮捕に行くなんてありえませんよ。

この否定発言の後、パヴィン氏の姉は、兵士が家に来た証拠として、ジャーナリストに写真を送った。

軍事政権の報道官が「本当に兵士がパヴィンの姉を訪問したとは思えない」と発言した数分後、姉がこの写真を送ってきた。

以前のインタビューでパヴィン氏は、故郷のタイに帰って学者としての仕事を続けたいという思いを語っていた。

I will continue what I do because it’s my role as an academic. I do hope to return to Thailand because my family is there. But if I have to close my ears and mouth, I’d rather stay outside.

私は何もやめるつもりはありません。これは学者としての務めだからです。家族がいるから、タイに戻りたいという思いは強くあります。でも、自分の耳と口を塞がなければならないとしたら、私はこのまま海外にとどまることを選びます。

校正:Rie Tamaki

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