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読み解こう『トランプ黙示録』

「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切だ)」運動。パブリックドメイン画像、Pixabayより。

「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切だ)」運動。パブリックドメイン画像、Pixabayより。

多くの人が驚いた勝利であり、中には待ち望んでいた人もいるが、完全に打ちのめされた人も少なくない。問題発言の多い極右候補ドナルド・トランプ氏が、2016年11月8日アメリカ合衆国大統領選に勝利した。支持者の間での人気の理由は主に、彼らの目にはトランプ氏が政治的既成勢力からはほど遠く見えることだ。彼らは既成勢力に絶対的不信感を抱いているのだ。

政治評論家の多くが(それにほとんどのジャーナリストが)このことに気づかなかった。米国外でも世界中で、なぜこうなったのか思い巡らされている。

トランプに投票したのは、白人貧困層、だ、け、じゃ、な、い。これまで共存してきたアメリカ人が、今、本性を現しただけだ。

(上)トランプが大統領だ。いやだと言ったところで、私たちも彼に投票した人たちも結局、運命共同体なんだから。
(下)他でもない、この国が選んだんだ。あなたの隣人が親戚が同僚が友人が、選んだんだ。

人種文化評論家でブログ「Racialicious」共著者のラトーヤ・ピーターソン氏はこうツイートした。

私は選挙結果に怯えない。恐怖は思考を停止させる。恐怖によって停止する部分はわずかでも、やがて完全な忘却につながる。私は自分の恐怖に立ち向かうつもり。

パレスチナ系米国人のサラ・ヤシン氏は、米国内のムスリム社会が味わっている恐怖を例示した。

ノースカロライナ州でムスリムの少女が選挙結果にこんなにも動揺している。
(上)
明日家を出るのが本当に怖い、マジな話…。新たにヘイトにお墨付きを与えて、人々が堂々と正当にヘイト行動が取れるようにしたも同然よ。どれだけ多くの人に自分の存在を拒否されているか、赤(訳注:共和党のシンボルカラー)の多さを見るのが怖い。

アイオワ州ではパン・アフリカ主義作家のシヤンダ・モフツィシバ氏が振り返る。

(上)「Reddit」(訳注:英語圏掲示板サイト)上でオルタナ右翼のグループをフォローしていたら、米国の白人青年はトランプ支持を隠すよう指示されているんだとわかったでしょうに。
(下)ネット上の過激化と言えば、いつもムスリムが話題になるけど。白人男性の過激化のほうが天文学的レベルだわ。

オンライン・プライバシーの提唱者で、「報道の自由基金」創設者のトレバー・ティム氏はこうツイートした。

国家安全保障システムはもうじき狂人の手に渡る。民主党が、この膨大で無責任なシステムを制度化しておいてくれて本当によかった。

世界中からの知見

作家で写真家の、カナダに拠点を置くステイシー・ゴンザレス氏は、#Trumpocalypse のハッシュタグを使ってこの選挙への見解をまとめている。
(訳注:#TrumpocalypseはTrump「トランプ」とthe Apocalypse「黙示録」の造語と思われる)

さて米国の方々、あなた方は、女性の権利に反対し、環境保護に反対し、マイノリティ支援に反対して人種差別に賛成する投票をした。トランプ黙示録の世界を選んだわけだ、まったく。

アルメニアのジャーナリスト、リアナ・アガヤニアン氏は明言する。

これが生々しい現実のアメリカだ。私たちはずっとアメリカを知ったかぶりしていたようだが、この上ない間違いだった。

マケドニアのマルコ氏は、世論調査がなぜこんなに外れたか、説明を試みた。

先入観を捨てよう! 米国の世論調査が間違っていたのは、トランプに投票することを大っぴらに認めるのが恥ずかしい、という人が大勢いたからだ。

英国拠点のシヴォーン・オドワイアー博士は、人類学者サラ・ケンジア氏のこの意見をシェアしている。

「英国EU離脱を連想しないか。ただし、こっちのほうはやたら銃だらけだが」サラ・ケンジアが言い当てている。

パレスチナの人権活動家ムハンマド・スリマン氏は言う。

英国に続き米国も。西欧諸国が道徳的に優れているという主張はもう通用しない。自由主義の普遍性という仮面では本性を隠しきれない。

ベオグラードの企業広報コンサルタントで元グローバル・ボイス中東欧地域エディタ、ダニカ・ラディシック氏はFacebook上で次のように分析する。

What fascinates me is that most people in the Western hemisphere still seem to think this US election is an isolated incident. Just as they thought Brexit was isolated and a surprise. Or Orban being re-elected in Hungary. Or Duterte's expletive-filled rise in the Philippines. Or Vucic and his nationalist, right-wing progressives in Serbia.

These are not flukes, my friends. This is a clear pattern. I tweeted the other day that “Right-wing ideologies grow and spread when economic & social change are necessary, but liberals & centrists are slow in offering solutions.” I didn't come up with that one all on my own. This has all happened before. It began in 1912 with the Balkan wars and ended with the rise of Hitler and World War 2. And if you don't get it, then you are among the very privileged and out of touch with the average human and with the rest of the world.

I read this Michael Moore piece a while back. And I never much liked the guy (okay, I think he's a whining douche), but I can't help but agree with him when he's right. And he's right.

From Green Bay to Pittsburgh, this, my friends, is the middle of England – broken, depressed, struggling, the smokestacks strewn across the countryside with the carcass of what we use to call the Middle Class. Angry, embittered working (and nonworking) people who were lied to by the trickle-down of Reagan and abandoned by Democrats who still try to talk a good line but are really just looking forward to rub one out with a lobbyist from Goldman Sachs who’ll write them nice big check before leaving the room. What happened in the UK with Brexit is going to happen here.”

And it will keep happening. As long as the failing upper classes are so out of touch with the growing working (or unemployed) classes, things are bound to get worse. One way or another, we will all go through this cleansing process. The more we ignore it, the uglier it will get.

That being said… boy, the next decade is going to be fun to watch! Well, for some of us. As long as you're not too attached to living and working in certain parts of the world.

興味深いのは、南北アメリカのほとんどの人がいまだに、この米国大統領選をおそらく単発事故だと思っていることだ。英国EU離脱に、そうは起こらないことだと驚いたように。ハンガリーでのオルバン首相再選の時も。フィリピンで暴言だらけのドゥテルテ大統領が出てきた時も。セルビアでのブチッチ首相と与党の国家主義的右翼の進歩党についても。

まぐれじゃないんだ、友よ。明らかにパターンが見られる。先日私は「経済や社会が変化を要するとき、右翼思想は成長・拡大するけれど、リベラルや中道派は解決策提示の動きが鈍い」とツイートした。このことは一人で思いついたわけではない。全て前から起きていたことだ。1912年のバルカン戦争に始まり、第二次世界大戦のヒトラー台頭に至るまで。もしわからないとしたら、よほどの特権者層にいて、普通の人間や外の世界に疎くなっている人だ。

私はこの前、このマイケル・ムーアの作品を読んだ。決して好きな人物ではないけれど(いや、愚痴っぽいいやな奴と思ってるけど)、正しい時には認めざるを得ない。そして彼は正しい。

グリーンベイからピッツバーグに至る地域は、友よ、まるで英国中部なんだ。壊れていて、不景気で、財政難で、地方のあちこちに工場の煙突が林立し、かつて中流と呼ばれたものの残骸がある。憤って恨めしげな労働者(や失業者)は、レーガン大統領のトリクルダウン(訳注:富裕層が豊かになることで全体に富が行き渡るという理論)にだまされ、口先だけの民主党に見捨てられた人々だ。口では相変わらずご立派な話をする民主党だが、実際はゴールドマン・サックスのロビイストたちとしっぽり楽しみたくてウズウズしている。彼らに会うたび、巨額の小切手を切ってもらえるのだから。EU離脱で英国に起きたことが、ここでも起きようとしている。

そしてその動きは止まらないだろう。衰退する上流層が、増大する労働者層(や失業者層)の現状を理解しない限り、事態は悪化し続ける。いずれにしろ、我々は皆、この浄化のプロセスを通ることになる。無視し続ければ、ますます醜いことになるだろう。

それはそれとして…。いやあ、この先10年を観察するのは楽しいだろうね! まあ、一部の人には。自分の住み家や職場はここじゃなきゃ、って世界の一部分に執着し過ぎなければの話だけど。

最近、世界中で極右勢力が台頭していることに触れて、メキシコのジャーナリストでオンラインニュースサイト「Animal Político」の管理人ダニエル・モレノ氏はこういぶかった。

ロシアではプーチン
米国ではトランプ
スペインではラホイ(訳注:現首相)
フランスのル・ペン(訳注:フランス国民戦線党首)と英国のファラージも出番だ

カナダが75億人(訳注:およその世界人口)を受け入れられるといいのだが

世論調査業者が選挙結果の予測を外したことに触れて、モザンビークの人権活動家ゼナイダ・マチャード氏はこう言った。

誰か、「データ」「確率」「統計」を一から発明し直すべきだよ、英国EU離脱と米大統領選の番狂わせを見たら。間違ってたんだから。

選挙における米国メディアの役割について、グローバル・ボイスのナイジェリアのメンバー、ニュアチュク・エグブニケ氏には言いたいことがある。

次回は、ニュースを「報道」してほしい。残念ながら米大統領選の最中、主流メディアは逆上しきっていた。メディアがニュースを「創造」していたよ!

一方、中東欧をカバーする独立系ジャーナリストのエイミー・マッキノン氏は、ロシアの写真をシェアした。

あの日の写真。モスクワの米国領事館の外に誰かが花を供え