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香港の「怪獣家長」は日本の「モンスターペアレンツ」よりも手強い?

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蘋果日報(ひんかにっぽう、訳注:香港の広東語日刊紙)の記事に掲載された「モンスターペアレンツ」の風刺画。

「モンスターペアレンツ」とは和製英語で、今どきの子育てにおける理不尽な側面を強調した言葉であり、アジア各地を中心に流行語となっている。一般的に、子どもに対して過保護で、子どもが通う学校に対して過度な要求を繰り返す親のことをさす。

香港では、異常ともいえる親の実態を解明する試みが、インターネット上にあふれている。子育てに関する意見交換の場として知名度が高い、地元・香港のサイト「親子王国」に寄せられた投稿によると、モンスターペアレンツの主な特徴は以下の通りである。

1.控制小朋友(或者到18.22)都一直將小朋友GE事放係自己身上,
完全唔比佢地自由,再者令佢地無自己思考GE能力!
2.覺得人有我有,逼小朋友去做唔鍾意GE事,細個就話學多D搵興趣,呢個算,但大個逼佢去SOCIAL ,去學呢樣學個樣,冇晒童年個D呢
3.成績大過天, 成績好就讚D仔女自己叻,成績差就X爆學校,話學校有問題,教書有問題…,咩都怪外在因素GE家長 ……[…]
5.以為自己個仔女就咩都岩,要人地幫手好似應份咁,基本禮貌同尊重都無教個小朋友
6.最唔LIKE 呢樣: 話其他人”窮、無前途、衰、家底唔夠好” ,唔好同佢玩埋一齊! 以為自己高高在上……

1. [モンスターペアレンツ]は(子どもの年齢に関係なく)子どもを管理下におく。子どもが果たすべき自己責任を親が肩代わりし、自主性を持たせないため、子どもの意思決定能力を阻害する。
2. 子どもの意思に反することを強要する。例えば、子どもが選択したいものとは異なる科目をとらせ、交友関係にも口を出し、わが子が子どもらしく過ごす権利を奪う。
3. 学業成績が何よりも優先される。成績が良ければ自画自賛、悪ければ学校を非難する。学校や教員に問題があるのではないかと主張し… 成績が振るわない責任を他人になすりつけるのだ。[…]
5. たとえ社会的に不適切であったとしても、自分の子どもがやることは常に正しいとみなしがちである。彼らは、基本的な礼儀や敬意といった教養を身につけてはいない。
6. 何よりもうんざりしてしまうのは、恵まれない家庭環境にある人を見下すことだ。「そういう人たちとは関わらないように」という。自分や自分の子どもは、「そういう人」よりも優秀だと思っている…

先に述べられた事実から、香港のモンスターペアレンツは厳しい管理や制限を子どもに課し、かなり抑圧的な育児を実践していると結論づけることができる。と同時に彼らは子どもを甘やかせて骨抜きにし、そして支配する。課外授業をいくつも受けさせるなどといった、親のもくろみ通りにさせるための手段として、子どもを極端に甘やかすのだ。こうしたアメとムチを使い分ける育児方法は、優越感と相関している。

時代の流れのなかで必然的に、モンスターペアレンツは出現した。日本の社会学者は「少子化」すなわち深刻な出生率の低下が、多くのモンスターペアレンツを生み出している、と論じている。この社会的問題に苦しめられているのは日本だけではない。香港のように都市化が進んだ地域も同じような状況にある。香港の華人社会では家族の結びつきが強いにもかかわらず、出生率が非常に低いのだ。

そのうえ、香港はこの二十年の間、知識集約型経済に軸足をおくことで発展を遂げた。一般的に「勝ち組はスタートラインの時点ですでに有利な立ち位置にいる」と広く信じられている。だからこそ、最良の幼稚園や学校への入園・入学を勝ち取るため、両親は子どもが生まれたその瞬間から準備を始めるのだ。名門校の多くは私立校であり、学費も高額である。

入学してしまえばこちらものとばかり、モンスターペアレンツは自らの主張を押し通そうとする。よくあるのが学生寮に対する苦情で、わが子のためと子どもが大学生になってもクレームをつけ続ける。

香港を拠点としているジャーナリズムの講師、ユエン・チャン氏は2013年に地元の大学での参観日に目撃したことを以下のように述べている。

参観の日、香港科技大学の教授らは保護者の話をじっと聞いていた。「男女別に分かれていない学生寮では、子どもが学生としての本分から横道に逸れてしまうのではないか」、「騒がしい寮生がおり、子どもが一晩中眠れなくて困る」と訴える親の話だ。大学職員は、「学生の家庭で雇っている家政婦に寮生の部屋を掃除させることについて、禁止はしないが奨励もしない」と説明していた。

過保護な育児の結果、「公主病」(訳注:日本語訳は、お殿様病/お姫様病)に象徴される依存過多の世代が生み出された、と考えるのが一般的である。「公主病」というのはアジアでよく使われている言葉で、自己陶酔や自己中心的な性格やそのような行動を表す。

一方、学力向上のためにより多くのスキルを身につけさせるといった、詰め込み教育が裏目に出る可能性もある。「登校拒否」にまで深刻化する生徒もいる。近年の調査結果では、香港の生徒のうち27%は自殺や自傷行為を考えたことがあり、63%は睡眠障害を患っている。現実離れした期待をかける両親と、点数主義に基づいたエリート教育制度が生徒にプレッシャーをかけているのだ。

苦情をいうのが当たり前だという風潮と、試験結果を優先する制度により、教員たちも相当な重圧を感じている。86%の小学校教員が「非常に重圧を感じる」または「比較的重圧を感じる」、と近年の調査で回答している。その重圧は、主に保護者からの苦情や期待によるもので、52%を占める。

そして、親もまたしかり。彼らもモンスター扱いされることでひどく傷つき、優秀な子どもを育て上げなけらばならないという、積もりに積もったプレッシャーに苦しんでいる。一人っ子であるわが子に対して天井知らずの期待をしてしまうがため、思い描いたとおりの子育てから少しでも外れてしまうと不安になってしまう。

もう一つ、モンスターペアレンツを苦しめるのは金銭的な問題である。教育熱心な彼らが子どもを様々な習い事や塾へ通わせようとすると、膨れ上がった教育費が家計を圧迫する。低収入の家庭ではより深刻だ。

しかしながら、否定的なレッテルを貼っても何の解決にもならない。市民団体「進歩教師同盟」は意識的に行為を振り返るやり方を広める活動を行い、香港の子育て世代に対して今までとは異なる育児モデルを提案している。

団体のウオーター・ツイは市民が意見交換するサイト「香港独立メディアネットワーク」へ現代の子育てについての連載(第1回第2回第3回)を投稿し、以下のように結論づけている。

…大人に成長したあなたは「自分がどんな両親のもとに生まれるかを選べる」としたら、どんな親を選びますか?良い親の条件としてにあなたは何を求めますか?理想的な親について、自分なりの考えを練って定義づけをしたとしましょう。あなたはご自分で定義したところの、理想的な親であるという確信を持てますか。逆に、自分が理想的な親ではないからといって、親として完全に失格かもしれないと心配になるでしょうか。誰もがそのように不安になった経験があるものですが、さらにひどくなるよりは、幸いにもその経験が良い方へと、うまく背中を押してくれることが多いのです…

校正:Moegi Tanaka

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