See all those languages up there? We translate Global Voices stories to make the world's citizen media available to everyone.

イランの双子アーティスト:「もう1人の自分と活動しているみたい」

(原文掲載日は2018年10月14日)

アーティストのバハレ・サファラニとファルザネ・サファラニ。ジャスティン・アヴェルサーノ撮影、サファラニ姉妹の厚意による。

芸術とは人生を模倣するものか、はたまたその逆か。イラン生まれのアーティスト、バハレ・サファラニとファルザネ・サファラニがニューヨーク市で開催した初の個展『Reincarnation(転生)』は、絵画、映像、パフォーマンスを融合させたものだ。この双子にとって、作品は自身の人生において新たな発見をするための個人的な旅でもある。

ファルザネ・サファラニは直近のインタビューでこう語った。「この展覧会のアイデアは、1人の女性の人生における1日の一瞬を切り取っているものばかりです。彼女が目覚める瞬間から始まりますが、「目覚める」には文字通りの意味と、隠喩的な意味があります」

1990年にテヘランで生まれた姉妹は13歳から一緒に絵を描いてきて、今ではマサチューセッツ州ボストンで活動している。テヘラン大学で絵画を学んだ後、ノースイースタン大学でスタジオアートを学ぶため米国へ移った。彼女たちの鮮烈なコラボレーション作品が成熟したのがこの時だ。米国やイランを含め各国で展覧会を開催し、世界中の美術館やコレクターたちが2人の作品を買い入れてきた。

サファラニ姉妹作、『After 12 pm(昼下がり)』。油彩・画布、およびビデオプロジェクション。

現在の展覧会には、ビデオプロジェクションを施した姉妹の絵画が14点ある。監修はロヤ・カージャーヴィ氏。ニューヨークを拠点に独立し、イランの若手アーティストの作品に大きく注目しているカルチャープロデューサーで、イランの国内外で活動している人物だ。サファラニ姉妹への関心を説明するために、カージャーヴィ氏は作品への支持に加え、文化的対話を促進しようとしている。「私の生まれ故郷であるイランと、人生の大半を過ごした第2の祖国である米国の間で緊張が高まる中、このような文化的対話にもっと注目することが必要です。展覧会『Reincarnation』は、美しさ、強さ、自信といった女性のかたちを見出し(そして反映し)ているのです」

ここは姉妹たち本人に語っていただくのがベストだろう。

オミード・メモリアン(OM):お二人は子どもの頃から一緒に絵を描かれています。2人でアイデアを模索していく時の思考プロセスを教えてください。このコラボレーションを可能にするものは何なのでしょうか。

Farzaneh Safarani (FS):We studied painting at the University of Tehran, where we were trained traditionally. We were also active in theatre, performance and music. As artists, we always want to explore and discover new things and we always want to speak to the world with our art. So we decided to travel and come to the U.S. in 2014. In our study at Northeastern University, we learned to combine the skills we had acquired in Iran with new concepts, integrating video, performances and installation art into our work.

We get inspired by the most simple to the most complex experiences in our lives, and the ideas for our works are driven from those experiences. We have been living together so closely for so many years and sharing so many experiences, that we have come to many of the same ideas for our paintings. We used to work separately and in fact, never consciously decided to work together—our collaboration happened organically when we realized how our minds work together, and how we complete each other's thoughts and ideas. And we saw that it worked: our first series of collaborative paintings was very successful. Gradually, our work became increasingly knitted together and now it is like one person working with her other self. When one of us is behind the camera and the other one is performing or posing, we do not need to communicate a word, we both exactly know and feel what we both want.

ファルザネ・サファラニ(FS):私たちはテヘラン大学で絵画を学び、そこで伝統的な訓練をしました。また演劇やパフォーマンス、音楽にも積極的に取り組みました。アーティストとして常に探求して新しいものを見つけたいですし、自分たちの作品で世界と対話したいと思っています。そこで2014年にイランを出ることを決め、アメリカに来ました。ノースイースタン大学では、イランで身に着けたスキルを新たな概念と結び付け、映像やパフォーマンス、インスタレーション・アートなどを自分たちの作品に融合させることを学びました。

最もシンプルなものから最も複雑なものに至るまで、人生の中のあらゆる経験に刺激を受け、そこから作品のアイデアを得ています。私たちは何年もの間、とても近くで共に生き、非常に多くの経験を共有したことで、絵画に対して同じアイデアが浮かぶことが多くなりました。かつては別々に作業していて、実のところ敢えて一緒に活動することになるなんてありえませんでした。どんなふうに思いが共鳴するのか、どうやってお互いの思いやアイデアを形にするのかといったことに気づいた時、私たちのコラボレーションは自然に生まれたのです。そしてそれが働くのを目の当たりにしました。共同制作した絵画の最初のシリーズが大成功したのです。徐々に私たちの作品はつながりを増していき、今ではもう1人の自分と一緒に活動している1人の人間のような感じです。片方がカメラの奥にいて片方がパフォーマンスやポージングをしている時も、言葉でコミュニケーションする必要がありません。お互いに何を求めているか、完璧にわかるからです。

Safarani Sisters, Title: Reveal. Oil color on canvas and video projection. 2017

サファラニ姉妹作:『Reveal(あらわ)』。油彩・画布、およびビデオプロジェクション。2017年。

OM:お二人が学んだイランとボストンのアートスクールには、どういった相違点がありますか。

FS: Graduating from the University of Tehran means that you know how to paint and have learned all the necessary skills to bring a 3D image into 2D. We learned all the traditional aesthetic techniques and theories. We were taught not to critique someone's art without being well versed and experienced in the field ourselves. We learned to work with new media, but only after we demonstrated knowledge of all the basics in our field. Collaboration and teamwork were not encouraged.

Here in the U.S., people at university are supposed to collaborate. As an art student in the U.S., you are not required to be a good drawer or painter to be successful; if you want to learn such techniques, you can go and learn them by yourself, elsewhere. We were not required to take specific classes, and could choose what we wanted to do. Here, you learn how to push yourself to be as brave as you can be, to bring out all your hidden abilities and use them in the best way you can.

FS:テヘラン大学を卒業するということは、絵の描き方を知り、3D画像を2Dに変換するために必要なあらゆるスキルを習得するということです。私たちはあらゆる伝統的な美術技法や理論を学びました。よく知りもしない、自分たちの分野で経験していない他者の芸術を批評することはしないようにと教わりました。新たなメディアを使って活動することも学びましたが、自分たちの分野で基礎となるあらゆる知識を示して初めてできることでした。コラボレーションやチームワークは推奨されませんでした。

米国では大学の人々は協働することを求められます。米国のアート系の学生である以上、成功するような良い絵描きである必要はありません。そういった技術を学びたければ、1人でどこへでも行って学ぶことができます。特定の授業を履修する必要もなく、やりたいことを選べました。ここでは、なりたい姿に向けて自分自身をいかに高めるかということや、隠された才能を見つけ出し、最も良いやり方でそれを活かすことを学べます。

Bahareh Safarani (BS): Whatever we know in terms of skills we learned in Iran, and we also self-taught. Here, we learned that art is all about approach and communication and as an artist, it really does not matter what you do — what matters is how you present your subject and concept. Galleries, collectors, art dealers and society play an essential role in the career and success of an artist; it is [critical] to have their support in order to flourish — and they have a very delicate job, because they are shaping societal tastes and if they do this poorly, they can do lasting harm.

バハレ・サファラニ(BS):スキルに関して私たちが知っていることはすべて、イランで学んだことや独学で得たものです。ここでは、芸術とはアプローチとコミュニケーションに関わるすべてのものであり、アーティストとして重要なのは何をするかではなく、主題やコンセプトをどう表現するかなのだと学びました。ギャラリー、コレクター、アートディーラー、そして社会はアーティストのキャリアと成功に欠かせない役割を果たしていて、活躍するためには彼らのサポートが不可欠なのです。彼らの仕事は非常に繊細です。社会の志向を形作っており、これがお粗末な場合、彼らの成すことは長きにわたって害になりうるからです。

OM:なぜ絵画の他にメディアを試すことにしたのですか。

BS: Different mediums communicate artists’ ideas in very different ways, and give artists different tools to communicate their message. For example, music is the most abstract art, while literature can be narrative. We know that if we have an idea that we want to depict in a painting, viewers may not get the meaning from the painting that we intended—this is simply a fact about painting. That is why we care about the aesthetic of a painting more than anything else. Video projection can bring the element of time into a still image, and it has brought a mystical and surreal aspect to our paintings. It opens up a new world for audiences, and encourages them to imagine. We sometimes integrate performance art as well, because we are aware of the impact of the form. Performances usually include music and are time- and place-specific; in other words, after it is done it is gone, as it was what we wanted for that specific concept.

BS:メディアによってアーティストのアイデアはまったく違ったように伝わりますし、アーティストがメッセージを伝えるツールも異なります。たとえば音楽は最も抽象的な芸術ですが、文学は物語になりえます。絵画で表現したいアイデアがあっても、見る人が私たちの意図する意味をその絵から汲み取ることができないかもしれないこともわかっています。これは単純に絵画の現実です。だからこそ私たちは、他の何よりも、絵画の美に注力します。ビデオプロジェクションは静止画に時間の要素を取り入れることが可能で、神秘的かつ非現実的な側面を私たちの絵画にもたらしました。鑑賞する側が新たな世界を開き、想像を膨らませます。私たちはパフォーマンス・アートを取り入れることもあります。その形式が与えるインパクトを知っているからです。パフォーマンスは音楽を含むことが多く、時間や場所を特定します。つまり、行為が終われば終わりというのが、特定のコンセプトに私たちが求めていたものだったのです。

OM:この展覧会『Reincarnation』と、ビデオプロジェクションを施した絵画について教えてください。これらの作品はどのようにお二人の芸術の旅と個人のアイデンティティを反映しているのですか。

FS: One of the major paintings in the exhibition is titled ‘Awake’, and the rest of the paintings follow chronologically — from her 5:00 a.m. waking until twilight, with each painting depicting different moments of her day. For example, in the painting ‘Her 5:00 a.m. View’, there are two elements in the painting that represent femininity and masculinity — the two attitudes she must have in order to survive. In the next painting, ‘5:30 a.m. in the Basement’, she is cleaning away blood. The blood is a symbol of inimical memories and thoughts. Each painting reflects a moment in the daily process, and the decisions and changes she makes in the process of daily self-renewal and strengthening.

FS:展覧会のメインとなる絵画の1つが『Awake(目覚め)』で、他の絵画は時系列に続きます。午前5時の起床から黄昏時まで、それぞれの絵画が女性の1日の異なる瞬間を描いています。たとえば『Her 5:00 a.m. View(午前5時の図)』という絵には、女性的な特質と男性的な特質を表す、生きるために必要な2つの要素があります。次の絵画『5:30 a.m. in the Basement(午前5時半、地下室にて)』では、血を掃除しています。血は有害な記憶や思考の象徴です。それぞれの絵画は日々のプロセスの瞬間や、日々自らを新しくしたり元気づけたりするプロセスの中で行う決定や変化を反映しています。

BS: One can find differences between this series and our other works. For example, the color palette has changed — we are using lighter colors, such as bluish and greenish grays. The compositions are also simpler — we are using the empty spaces to expand upon the subject. The figure is not in every painting; she only appears in some, or just in the videos. Overall, changes in our art come from all the changes around us. We want to clear our minds of pessimism. We want to nourish our hopes with the light. We want to observe the beauty and try to define it, and we want to believe that people can be united, at least in simple facts.

BS:このシリーズと他の作品の間には違いが見えます。たとえばカラーパレットが変わり、青や緑がかったグレーなどの明るい色を使っています。構成もよりシンプルになって、主題から発展させるために余白を使っています。人の姿はすべての絵画にあるわけではありません。たまに現れる、または動画のみに出てくる程度です。総じて私たちの芸術における変化は身の周りの変化に由来します。悲観主義的な考えを取り払い、光をもって希望を育てたいのです。私たちは美を観察し、定義し、最低限のシンプルな事実の中で、人々がつながりうることを信じています。

OM:お二人はもともと画家であるアーティストですが、映像やパフォーマンス・アートが作品に加えたものは何でしょうか。

FS: The communication between video and the still image is very interesting to us. Video adds time to the still image — but when one watches the video over and over, it becomes a still image. The videos we make for the paintings are very subtle; they give life to the painting, like a breath or heartbeat. Their beauty is that they do not overpower the paintings; they are not narrative and are very abstract, meant only to elicit the imaginative power to visualize different occurrences in the painting that are based on the viewer’s own perceptions and experiences.

FS:映像と静止画の間のコミュニケーションは私たちにとって非常に興味深いものです。映像は静止画に時間を加えてくれますが、映像を何度も繰り返し見ると静止画になります。私たちが絵画のために作る映像は非常に些細で、呼吸や鼓動のように絵画に命を与えるものです。映像の美しさは絵画に勝るものではありません。絵画は物語的でなく、とても抽象的で、見る人の感覚や経験に基づいてその中に生じるさまざまなものを視覚化するための想像力を引き出すことだけを意図しています。

OM:アーティストとしての進歩について、展覧会で何を伝えますか。

BS:‘Reincarnation’ implies a new life. If we can make the audience wake up and realize the world around them and see the beauty in it, it is a huge success.

BS:展覧会『Reincarnation』は新たな生命を暗示しています。もし見る人を目覚めさせ、彼らを取り巻く世界に気づかせ、そこに美しさを見せることができれば、大きな成功と言えます。

OM:イランを離れてから作品はどのように変わってきましたか。イランにいた頃と新たな故郷で、インスピレーションの源はどのようにつながりますか。

FS: Our works are about our lives — that is where we draw our inspiration, conceptually and formally. All the interiors we have painted are actual places we have lived — so for example, many of the paintings we did in the U.S. have elements of New England architecture. The use of greens and blues in our recent work flows from the beautiful nature around the house where we have been living, so there are many different things that appear in our paintings that come from the environment [in which] we live. Conceptually, the source of our inspiration is ourselves, so even as we change and grow, we never get disconnected from this source of inspiration, no matter where we are.

FS:作品の題材は私たちの生活です。概念的にも形式的にも、インスピレーションを引き出す場なのです。絵に描いてきた部屋はすべて、私たちが実際に暮らしてきた場所です。たとえば、米国での絵画の多くはニューイングランドの建築物の要素を含んでいます。最近の作品における緑や青の使い方は、かつて住んでいた家の周りの美しい自然から生まれています。つまり、絵画に現れるものは私たちが暮らす環境によるさまざまなものです。概念的には、インスピレーションの源は自分たち自身なので、たとえ変わったり成長したりしても、インスピレーションの源から離れることはありません。どこにいても関係ないのです。

展覧会『Reincarnation』は2018年10月18日にニューヨーク市のエルガ・ウィマー・ギャラリーで始まり、10月31日まで開催される。

校正:Moegi Tanaka

コメントする

Authors, please ログイン »

コメントのシェア・ガイドライン

  • Twitterやfacebookなどにログインし、アイコンを押して投稿すると、コメントをシェアできます. コメントはすべて管理者が内容の確認を行います. 同じコメントを複数回投稿すると、スパムと認識されることがあります.
  • 他の方には敬意を持って接してください。. 差別発言、猥褻用語、個人攻撃を含んだコメントは投稿できません。.