この記事はキャンディス・チョウが執筆し、2020年11月21日に香港フリープレスに最初に掲載されたものである。コンテンツ・パートナーシップの合意にもとづき、グローバル・ボイスが編集の上再掲載した。
ビデオゲーム業界における日本の巨大企業、任天堂が人気のゲーム「あつまれ どうぶつの森」のプレイヤーに、政治的または営利的な内容のコンテンツを持ち込まないよう要請している。香港の民主派活動家をはじめ、世界の様々なプレイヤーがこの種の内容のメッセージを送り始めたことを受けての警告である。
このゲームは3月に発売されてからずっとヒットを続けており、9月までに2千万本超を売り上げた。このゲームでは、プレイヤーが自分の無人島を手に入れ、そこで道具や飾りつけや生活必需品をいちから作ることができる。
任天堂は様々な企業や団体に対して、「ゲームに政治を持ち込むことを控える」よう要請し、このガイドラインに違反するとプレイを禁止する可能性があると警告した。
それでもプレイヤーの中には、政治的メッセージを発信するために、このゲームの機能を利用する人たちがいる。例えば、プレイヤー同士で直接チャットをしたり、メッセージカードを送ったり、パスポートを更新したり、掲示板に書き込みをしたりといった機能である。
香港では、民主主義擁護・反政府のコンテンツを作り続けているプレイヤーたちがいる。そのコンテンツには「光復香港、時代革命」などの反政府スローガンが描かれた旗や、習近平中国国家主席の葬儀写真、また香港のリーダー林鄭月娥(キャリー・ラム)に対する「打小人(ダーシウャーン、悪魔祓い)」の儀式などが含まれている。
このゲームはそれ以来、中国のオンライン・グレーマーケットから回収されてしまった。
次期アメリカ大統領のジョー・バイデンも、このゲームの人気に便乗しようとしたひとりである。選挙に先立って、バイデン陣営はゲームの世界に自陣の島を作り、プレイヤーたちがその島の選挙対策本部で「ボランティア」をしたり、投票所に行ったりできるようにした。新しいガイドラインでは、このような島は許されないだろう。
Nintendo bans brands from using Animal Crossing: New Horizons for politics https://t.co/LOk8cosUmP
— Eurogamer (@eurogamer) November 19, 2020
任天堂は「あつまれ どうぶつの森」を政治目的で利用することを禁じている。
活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)は今年に入って多くの抵抗運動にゲーム上で参加したと香港フリープレスに語った。
What Animal Crossing represented was not just entertainment during lockdown, but also a reflection of happenings in real life. It provides an alternative when institutional channels of expression are restricted…It is a shame that Nintendo overlooked the significance of this game.
ロックダウンの期間中、「あつ森」をプレイすることはただのエンタメではなく現実の出来事の反映だった。正規の表現手段が制限されている時に、このゲームはその代替手段になっている。(中略)任天堂がこのゲームの重要性を分かっていないなんて残念なことだ。