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インドのトイレ事情:「手作業による汲み取り」は法律で禁止!

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インドでは人の手によるトイレ清掃は違法だが、この仕事はいまだ村落で存続している。ウッタル・プラデーシュ州モラーダーバード地区に住むこの女性は、人の糞尿を運んでいる。 写真 インドユニセフ協会より謹呈

人の手による汲み取り、即ちインド国内での人の手による非水洗トイレの清掃は、政府が法律で厳しく禁止 [pdf]している。それにも関わらず、このような方法がいまだ行われている村落がある。グローバルボイスのメンバーを含むブロガー集団が、インド・ウッタル・プラデーシュ州モラーダーバード地区内の村をいくつか視察し、違法で非人道的な仕事についてさらに知ることができた。

インド政府はユニセフインド事務所と連携し、地域共同体主導の総合的な公衆衛生プログラム Nirmal Bharat Abhiyan (NBA)(訳注:公衆衛生総合キャンペーンの意)を積極的かつ熱心に推し進めてきた。このプログラムの目標は、2017年までに野外での排泄をなくすことである。 以前 グローバルボイスの投稿記事で 、ユニセフインド事務所が #poo2loo キャンペーン( 訳注:うんちはトイレでキャンペーン の意)で都市部住民の参加も呼びかけながら、野外での排泄問題を周知するためにこれまでに例のない手法を取り入れていると伝えた。

しかし NBA プログラム では野外での排泄をやめさせるために啓発活動を行い、国中にトイレ設備を作る事業を実施するほか、糞尿の衛生的な処理にも取り組んでいる。このような状況の中で、ブロガー集団は従来の「乾式トイレ」がいかに非衛生的であるかを思い知った。また、この地域には糞尿処理用の適切な下水設備がないため、乾式トイレを設置することとなり、その存在が違法な糞尿処理方法である手作業によるトイレ清掃を後押しする形となった。

インド・ウッタル・プラデーシュ州にある従来の乾式トイレ。このトイレの清掃には手作業が必要だ. 写真 Aparna Ray

インド・ウッタル・プラデーシュ州のモラーダーバード地区のパンチャーヤット(訳注:村落の長老会議)長老が、乾式トイレ(水洗システムのないトイレ)が屋外での排泄以上に深刻な問題である理由を、彼の視点から説明した。村内で屋外での排泄が行われるのは一般に人家から離れた耕地や森林だが、従来の乾式トイレでは、糞尿は屋内の仕切られた小部屋に排泄されたままの状態で置かれており、地域共同体に病気がまん延する速度が速まる原因となる。(糞尿に群がったハエが、その後食品などにとまるため等の理由から)

実際この点が、屋内にトイレを持ちたがらない家庭が多い理由のひとつだ。また、こういった乾式トイレには、「尊厳のない違法な」仕事である人の手による糞尿清掃も必要である。

Youth Ki Awaaz の Mayank Jain も、現地調査に行ったブロガーのひとりだ。彼は自分の体験を こう記している :

dry toilet is probably the gravest thing I have encountered in my life. Those who feel shy or don’t want to go out choose this means where they leave their fecal waste in one corner of the house and in the morning, a human scavenger comes to clean it and carries the whole waste on their head to dump it anywhere away from their home. This is done in return for a sum of just 30 rupees for 6 months! This is an inhuman crime being carried out all over the villages and it is a massive source of diseases and health issues. People don’t realize how unhygienic it is to live with their own waste in the house and those who carry on their heads find themselves perpetually ill with diarrhea or poisoning and they still choose to do it for that extra money

乾式トイレはおそらく、私が今までに目の当たりにした中で最も憂慮すべきものだ。屋外での排泄が恥ずかしいと思う人やしたくないと思う人は乾式トイレを設置し、糞尿は家の片隅に放置されることとなる。朝になると汲み取り人が糞尿を掃除し、全て頭に載せて家の外に捨てに行く。この報酬は、半年当たりわずか30ルピーである! 村じゅうでこういった非人道的犯罪が行われ、病気や健康問題の主原因となっている。人々は屋内に排泄物を置いて暮らすことがいかに非衛生的であるかわかっていない。便を頭の上に載せて運ぶ人は頻繁に下痢や中毒症状を起こすのだが、わずかばかりの収入が欲しいためにまだ仕事を続けることを選ぶ。

Mayank はさらにこう コメントしている:

The story gets worse once you talk to them about their children and you discover this profession gives birth to huge discrimination and people don’t dare touch them or talk to them nicely because of what they do in the morning. Story of human scavengers brings to light the vicious cycle of poverty and misery but the web is intermingled with shades of caste-ism, religious sentiments, traditions and cultural hierarchies that have grown to this level now.

It is a crime as per Indian law and the women who do it ran away when we tried to talk to them thinking they will be caught or punished and I could only wonder where this country has reached so far.

汲み取り人に子供のことを聞いてみれば、話はもっと悲惨になり、この職業が大きな差別を生むことがわかる。朝汲み取りをするという理由で、人々は彼らに触れることも親しく話しかけることもしないという。汲み取り人の話は悲惨な貧困の悪循環を明らかにしている。カースト制、宗教心、伝統、および文化的階層が蜘蛛の巣のように複雑に絡み合い、インド社会に影を落としている。そしてその現状が今日目にするレベルに達しているのだ。

女性汲み取り人に話しかけたところ、インド法では手作業によるトイレ清掃が犯罪であるため、逮捕処罰されると思い走り去った。私には、この国が今どのような状態なのだろうと思い巡らすことしかできなかった。

インド・ウッタル・プラデーシュ州のとある村の女性汲み取り人3人。ほかの村人から少し離れた場所で身を寄せ合っている。 写真 Aparna Ray

Halabol 勤務のブロガー Ajay Kapoor と非政府組織 Protsahan 勤務の Sonal Kapoor も、現地調査で出会ったこのような女性汲み取り人から聞いた話をブログやツイートに投稿した。

Ajay のブログ投稿:

Scavengers from a village. No dignity, no respect and worst of all they get pennies for this humiliating work and some stale food.

村の汲み取り人。尊厳を無視され、敬意を払われることもありません。何よりひどいことには、この屈辱的な仕事の代価はわずかなお金や古くなった食品なのです。

And Sonal (@ArtForCause) のツイート:

今日、ウッタル・プラデーシュ州内で手作業によるトイレ清掃がいまでも行われている地域を数カ所視察しました。 インドでは、汲み取り人として働く人が約34万人います。

人の手によるトイレ清掃は、単なる賃金問題でもなければ、ある種の短期的救済措置でもありません。インドに深く根を下ろした社会的偏見の問題なのです。

— Sonal Kapoor (@ArtForCause) December 14, 2013

今日モラーダーバードで会った女性にとって、最初に選ぶ手段が汲み取り、次に選ぶ手段が売春です。彼女たちは1日2個のパンを得るために最初の手段を選びました。

女性はしょっちゅう病気になっていると不平をこぼしながら、清掃作業のせいだと指摘されると、ほかにできる仕事も見つからないし、別のきちんとした仕事につく道も開かれていないと言った。

インド政府は、公衆衛生分野に取り組むスラブ・インターナショナルのような組織とともに社会変革を推し進めているが、その試みは次の2点である。
a)従来の乾式トイレから、毎日清掃しなくてもよい、より衛生的なトイレに転換を図ること。
b)汲み取り人のために、新たな代替生計手段を創出すること。

従来の乾式トイレの転換

政府は、公衆衛生パートナーと共にこのような非衛生的な乾式トイレの水洗トイレへの転換を推進している。また一方では、適切な下水道設備がなく高額な水洗トイレの推奨は非現実的であることに留意し、特に貧困地域や農村部では、自己堆肥化2穴注水式水洗システムのような技術を選択している。

乾式トイレは、2穴注水式システムに切り替わりつつある。写真 インドユニセフ協会より謹呈

乾式トイレは、2穴注水式システムに切り替わりつつある。写真 インドユニセフ協会より謹呈

このトイレ技術では、2つの穴につながったトイレを作り、穴は1度に1個ずつ使用する。水で流した排泄物は穴の中に集まり、いっぱいになるともう一方の穴が使われる。排泄物は堆肥に変わり、肥料として使われる。

インド全域で、代替となる革新的な公衆衛生システムがほかにも開発されている。例えば、ユニセフが支援する和式のエコサン・トイレシステム(訳注:し尿分離型衛生式トイレ)がある。

インドでは最近、 水を必要としない最新の水洗トイレも姿を見せている。

汲み取り人の社会復帰

より多くのトイレが改善され、汲み取り人に代替生活手段が提供され、社会復帰の機会が多く与えられるようになれば、希望も見えてくる。とはいえ、この地域にはなお多くの解決すべき課題が残されている。政府支援の「年間100日間の雇用保証」スキーム自営スキーム、NGO主導の研修および雇用創出行動計画などを通じ、手作業によるトイレ清掃を行う共同体が社会本流での権利を取り戻し、その住民が尊厳を持った生活をし、親から子の世代までがより明るい未来を夢見ることができる社会の創出が望まれる。

このYouTube 映像で、ビンデシュワル・パタク博士は、自らが所属するスラブ・インターナショナルの主導でこのような取り組みを進めていくと語る。そして次のようにも言っている。「取り組みの結果、わずかながら変化の兆しが見えてきました。それは『暗闇にともったロウソクのようなもので、始まりの第一歩となります』」.

このシリーズの次回投稿では、勇敢な「トイレ兵士」が共同体内でトイレ清掃や公衆衛生に対する考え方に変化をもたらすべく働きかける様子を見ていこう。

校正:Masato Kaneko