9月23日の国連気候変動サミットで取り上げられた戦略の一つに気候変動対応型農業への国際連携がある。この連携に参入した16の国および37の団体は、2030年までに世界中の農業従事者5億人が気候変動対応型農業を実践できるようにしようとの目標を掲げている。
気候変動対応型農業とは何か。それは農業従事者が、気候変動に順応できるよう手助けをすると同時に温室効果ガスを発生させる農業技法と縁を絶つようにするものである。アフリカおよびアジアの多くの国々では、この考えを実行するために、国際農業研究協議グループ(CGIAR)(訳注: ※参照)が策定した研究プログラム「気候変動・農業・食料安全保障(CCAFS)」により、すでに「気候変動対応型農村」が立ち上げられている。
※ 国際農業研究協議グループ(Consultative Group on International Agricultural Research:CGIAR)
開発途上国の農林水産業(第一次産業)の生産性向上、技術発展を目的に1971年に設立された国際組織。
北部インドの農業従事者は、多様な気象の変化に順応できるようになった。その結果、決まって豪雨に見舞われる雨季の間も農耕を続けている。しかし、科学者は、気候変動による気象の変化が現れるようになると、インド国内の農作物育成条件はさらにいっそう厳しいものになる可能性があり、急激に厳しい豪雨期と干ばつ期を交互に繰り返す気象の影響を受けるようになるといっている。CGIARによると上記のようである。
気候変動・農業・食料安全保障 (CCAFS)」は、国際トウモロコシ・コムギ改良センターおよび提携団体と協力して、気候変動対応型農村経営の中に気候変動に対応した農業の実践と技術に関する情報を取り入れ活用している。
農業研究者、農業協同組合、政府機関および民間企業は、共同でこの農村経営に取り組み、生産性および収益の改善につながる農耕技術を探っている。それと同時に気候変動リスクに対する復元力の構築を図ろうとしている。「気候変動対応型」農業では、地域ごとにまったく異なった手法が要求される。ある地域で良好な結果をおさめた手法は、他の地域では必ずしも最適な手法とはいえない。
このプロジェクトは現在、インドのハリヤーナ州、ビハール州およびパンジャーブ州で実施されている。同じような例がネパールの Khulna, Bangladesh および Rupandehiでも実施されている。下のビデオは農村活動の背景にある考え方を映し出している。
気候変動対応型農業を取り入れたインドの農村では気候変動に伴う様々な変化に適応すべく、農業従事者の間で携帯電話、インターネットその他必要最低限の測定機器の使用法に関する変革が始まったと、CGIARは報じている。農業従事者は意外と気候変動について口にすることは少なく、それよりも従来からの方法によらず革新的な農耕に精を出しているといった興味ある側面がみられる。労働時間の短縮及び稲作水量の削減につながる新水稲栽培法を導入するなどの努力により、大幅な経費削減という結果が農業従事者にもたらされたと、CGIAR は報じている。
このプロジェクトの下で、音声よび文書によるメッセージが、ヒンディー語および各地の言語で週二回、農業従事者に送信される。文書によるメッセージでは、気象情報や病害虫対策など農業従事者に役立つ情報が提供されている。昨年は、カナール県とビハール州内50ヵ村およびパンジャーブ州内10ヵ村の農業従事者1,400人にメッセージが送られたと、CGIAR は報じている。
Anjantheli, the first climate-smart village in Haryana, where every person has #weather forecasts on their fingertips http://t.co/dSpBcwqnJY
— India Water Portal (@indiawater) September 9, 2014
ハルヤーナ州で最初の気候変動対応型農村であるAnjantheliでは、だれもが指先の操作で気象情報 (#weather)を見ている。http://t.co/dSpBcwqnJY
農業従事者に対し、肥料管理の改善が促されている。改善策の一例として、リーフ・カラーチャートの使用が推奨されている。
CCAFS南アジアプログラムは、自然災害による凶作に伴う損失を軽減するために、気候変動対応型農村経営モデルの一環として、気候保険事業の立ち上げにも成功した。
インドにおける成功に刺激され、この事例に倣った取組が、気候変動対応型農村経営の下で南アジアおよびアフリカ諸国の間にも取り入れられるようになった。 CGIARのブログには、さまざまな取組や気候変動対応型農村経営が抱えている課題が示されている。