香港:いまを楽しむことを忘れないフィリピン人家政婦たち

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インタビュー動画の一場面

インタビュー動画の一場面

この記事は、エイブリー・ツィ、リー・スンピン、ミニー・ワン、ビビアン・ツァン、アフリース・シーが執筆し、「バーシティ」誌に掲載されたものです。「バーシティ」誌は、香港中文大学ジャーナリズム・コミュニケーション学科の学生が発行している英字誌です。

香港の外国人家政婦の数は上昇し続けており、昨年34万380人に達した。この数字は、5年前と比較すると24%の増加だ。香港の共働き家庭にとって家政婦は欠かせない存在になっているが、いまだに貧しく教養がないという先入観を持っている人が多い。ニュースで報じられるときには悪い話が多く、雇用主に対する詐欺行為や窃盗、世話をする対象者への虐待、または雇用主の家政婦に対する虐待といったものばかりである。

しかし実際は家政婦もみんなと同じだ。友達や家族がいて、休みの日には充実した生活を満喫している。

37歳のミシェル・サルータは1年前に香港に来た。ダンスサークルを始めて、毎週日曜日はダンスの仲間と一緒に練習をしている。

サルータは10年以上ダンスを続けている。ダンスを始めたのはフィリピンの大学時代だ。踊ることで仕事のプレッシャーから解放されるし、友達との絆(きずな)も深まるように感じている。サルータは週に一度の休日を充実したものにしたいと考えている。

We have to enjoy it rather than sitting down [and being] sad.

座って悲しんでなんかいないで、楽しまなくちゃ。

もう一人の家政婦、リー・アン・イダルゴは写真のワークショップに参加している。写真を撮っていると前向きな気持ちになれるので、熱中するようになった。イダルゴは写真を通して家政婦の才能を示したいと思っている。

I don't like domestic helpers just saying that we are just domestic helpers. We may have the lowest salary here in Hong Kong, but in some ways we are helping Hong Kong. Instead of focusing on the negative sides, like being sad or being homesick, photography helps me to be positive. With the use of my photos, I want them to see we are not just cleaners, we can do other good things.

私が嫌いなのは、私たちなんか単なる家政婦に過ぎない、と自分で言っている家政婦たちです。私たちの給料はここ香港の最低賃金かもしれない。でも、言ってみれば、そんな私たちが香港を支えているのです。私は、悲しいことやホームシックなどネガティブな面にはピントを合わせずに、写真を撮ることでポジティブに過ごしています。私の写真で、自分たちは単なる掃除婦じゃない、他にも素晴らしいことができるんだ、と気づいてもらえたらいいなと思います。

日々の仕事を超えて、フィリピン人家政婦は同郷の人たちと一緒に香港での生活を楽しんでいる。レオ・セロメニオは1996年に香港に来た家政婦で、その10年後にグローバル・アライアンスを立ち上げた。グローバル・アライアンスは国外のフィリピン人コミュニティ支援に尽力している団体で、セロメニオは家政婦仲間のために週末をイベントの企画に費やしている。時間が足りないことや、金銭的サポートの不足などさまざまな問題に直面しているが、雇用主が彼女の活動を理解しサポートしてくれており、毎週末2日間の休暇を取らせてくれている。

Wherever I go, I may be back to Philippines for good, I will never be able to forget my employer because they have already become a part of my life.

いずれフィリピンに帰り、ここには戻らないと思いますが、どこへ行こうとも絶対に雇用主のことは忘れません。彼らはすでに私の人生の一部となっているのですから。

校正:Rie Tamaki

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