アンバーマウンテンはマダガスカル初の国立公園である。この地域一帯は自然保護が行き届き、生物多様性の一大中心地との評価を得ている。そのためここは、訪れる人たちの興味を引きつけてやまない場所の一つに数えられている。うだるような暑さの中にある北部地域と比べ、この地域は静寂と涼しさに包まれたまったくの別天地である。
アンバーマウンテン国立公園探索
アンバーマウンテン国立公園は、マダガスカル北部ディエゴ・スアレス(訳注:アンツィラナナ自治州、およびダイアナ地域圏の首府。1975年以降アンツィラナナと改称された)の南方14kmに位置する。この山域は火山地帯であり、全体が2万3000ヘクタールを超える湿気に富んだ熱帯林に覆われている。☆1その湿度のおかげで、この熱帯林は同地域の年間降雨量の85%に相当する降雨の元となっている。また、この国立公園内には湖が6箇所あり、滝や川もいくつか見られる。
マダガスカル滞在中にこの自然保護区を探索したい場合は、マダガスカル国立公園(MNP)の専任ガイドを付ける必要がある。保護区域内には半日から3日間の各トレッキングコースが設置されており、標高850mから1400mにある探索路を歩くことができる。
見たこともないような動植物に遭遇
この国立公園に立ち入るときは、「ファディ」と呼ばれるマダガスカルの文化的タブーが幾つかあることを念頭に置く必要がある。それらに遭遇した場合は特別な配慮をしなければならない。しかし、ガイドから事前にタブーについて説明があるので、特に心配することはない。アンバーマウンテン国立公園には、莫大な数の固有種が生息している。これまでのところ、鳥類77種、キツネザル7種、両生動物24種の固有種が観察されたとの記録がある。
チャイロネズミキツネザル(brown mouse lemur)と呼ばれる世界最小のキツネザルが、この公園内でしばしば観察されている。目をこらせば、木々の間にこれらキツネザルやマダガスカル産のトキが見え隠れしているのが分かる。又、世界最小のカメレオンといわれるミクロヒメカメレオンを見つけられるか試してほしい。このカメレオンは、成長しても体長は3センチにに達するのがやっとである。また、しばしば、巧みに葉の色に合わせた保護色で身を覆うのでこのカメレオンを見つけるのは難しい。
次に、アンバーマウンテン内の植物の多様性についてふれてみよう。1020種以上の植物がこの国立公園内に生息していると記録されている。ガイド氏は間違いなく、これら植物の多大な薬効について説明するだろう。ローズウッド(紫檀:シタン)は普通に見られる木である。フェイムローナ(Famelona)もしかり、ラミー(Ramy)でさえもがしかりである。シダ類、タビビトノキ(訳注:マダガスカル原産のバナナに似た植物)、チョーキングクリーパー(choking creepers)そしてランなども生えているに違いない。こら らが生えていない森林は、マダガスカルの湿潤な雨林とはいえない。これらの植物がすべて等しくアンバーマウンテン国立公園の景観を形成しているのだ。