こんな記事を目にするのは初めてだ。ましてやそれが本当のことだなんて。しかし、事実はここにある通りだ。ロシア政府は正式にエホバの証人の活動を禁じた。10年続いた法廷での争いの後、最高裁判所は4月20日に最終的判決を下した。その内容は、ロシアにいる17万5000人のエホバの証人をISISと同様、過激派組織に指定するというものだ。
政府はこの教会の資産をすでに差し押さえている。
エホバの証人禁止令はツイッター上を賑わせた。「この破壊的な宗派」への弾圧に関して、ウイットに富んだ意見やヒトラーとの類似点や弾圧賛美のヘイトスピーチなどが次々と書き込まれた。つまり、ネット上では全くいつもと変わらない1日だった。
ある風刺的なツイッターアカウントが、ロシアの最近の政治スキャンダルすべてを、面白おかしくたった1つのジョークにまとめ上げてしまった。つまり、チェチェンでの同性愛者への集団迫害とトラック運転手の全国規模ストライキの記事を共に認めたのだ。
А идеальный оппозиционер на сегодня выглядит так: чеченский гей-дальнобойщик, входящий в секту свидетелей Иеговы
— Во///дь™ (@zybb_zer0) April 20, 2017
近頃の理想的な反体制派とはこんな人。同性愛者でエホバの証人信者のチェチェン人トラック運転手。
他にも「イエス・キリスト」というパロディアカウントが、今や違法となった宗派とは無関係だと言おうと、ふざけてこうツイートした。
Свидетелей Иеговы переквалифицировали в Подозреваемых Иеговы.
А вообще мутные ребята. Если что, для протокола, я с ними никаких дел не веду.— Иисус Христос (@Jesusques) April 20, 2017
エホバの証人は、今回の判決でエホバの容疑者になった。とにかく怪しい連中さ。ついでにはっきりさせとくけど、僕はこの連中とは関係ないよ。
国際人権擁護団体アゴラー代表のパーヴェル・チコフは、たった今ロシアの最高裁が17万5000人もの重大な犯罪者を生み出したと警鐘を鳴らした。
В мире число Свидетелей Иеговы более 8 миллионов. Минюст РФ и Верховный суд РФ поставили вне закона
— Pavel Chikov (@pchikov) April 20, 2017
ウィキペディアによると、現在ロシアでは17万5000人のエホバの証人が活動中だという。ロシア司法省はその信者全員に刑事訴追を行うとした。エホバの証人は世界中に800万人以上いるとされている。ロシア司法省はその全員を犯罪者とみなしたのだ。
ヴァシリー・オブローモフは反政府的な意見を述べることで有名なミュージシャンだ。彼はロシアの言論統制が敬虔な人々の宗教的感情の侮辱にあたるのではないかと指摘し、なぜエホバの証人禁止令そのものが違法でないのかと疑問を呈した。
А разве запрет “Свидетелей Иеговы” в РФ не попадает под закон об “осквернении чувств верующих” членов этой организации?
— Vasily Oblomov (@VS_Oblomov) April 20, 2017
ロシアでのエホバの証人禁止令が、この教団信者の「宗教的感情の侮辱」を禁ずるロシアの法に抵触しているんじゃないか?
多くのツイッターユーザーが、最高裁の判決をナチスによるエホバの証人の迫害にたとえた。ラジオ局エーホ・モスクヴィ(モスクワのこだま)編集長、アレクセイ・ヴェネディクトフもその一人で、次のようにツイートした。
Свидетели Иеговы отказывались признавать Гитлера фюрером, произносить нацистское приветствие, служить в нацистской армии и были запрещены.
— Алексей Венедиктов (@aavst) April 20, 2017
エホバの証人はヒトラーを総統と認めようとせず、ナチス式敬礼もナチス軍の兵役も拒否し、その結果迫害された。
ヴェネディクトフの副編集長、ウラジミール・ヴァルフォロミーフはさらにもう一歩踏み込んだ。気がつけばいつの間にかファシズムに陥っていたドイツの二の舞になりそうな、最近のロシアの政治的スキャンダルの数々を羅列して例えたのだ。(国会議員の反ユダヤ的な発言、チェチェンにおける同性愛者の迫害、クリミア併合など)そして政権支持者たちが、最も傑出した野党指導者であるアレクセイ・ナバリヌイをヒトラーに例えたがると、冗談交じりに批判を締めくくった。
Антисемитизм. Преследование гомосексуалов. Запрет “Свидетелей Иеговы”. Аннексия чужих территорий.
А Гитлер – всё равно Навальный.
— Владимир Варфоломеев (@Varfolomeev) April 20, 2017
反ユダヤ主義。同性愛者の迫害。エホバの証人禁止令。他国の領土の併合。そのくせ、ナバリヌイはヒトラーの再来と言われている。
3月に、エホバの証人世界本部のスポークスマンはザ・モスクワ・タイムズに次のように語った。「ロシアでエホバの証人を全面禁止することで、ロシア国内の信者に対し『本当の過激派の活動』が起こるのでは、と当本部は危惧しています。信者に対する身体的攻撃の恐れもあります」
4月20日のロシア最高裁の判決により、国内にあるエホバの証人の396の拠点すべての活動が即刻停止させられる。この教団が礼拝に集まることも、布教パンフを配ることも、今となっては違法行為なのだ。