既存政党が支配する20年ぶりのネパール地方選挙

地方選挙第一期の間、シンドゥリ地方カマラマイ自治体の地方投票所に、有権者が票を投じるために列をなす様子。ソウロブ・ダカール撮影。掲載許可受諾済み。

(訳注:原文掲載日は5月30日です)

20年ぶりにネパールで地方選挙が開かれ、第一期は5月14日に3つの州で行われた。残った4つの州で行われる第二期は2017年6月23日に日程が延期されている

しかし、開票作業の遅れに批判が出ている。選挙管理委員会が国の首都である大都市カトマンドゥの新しい市長を発表するまでに14日間もかかったのだ。

新しい政党が地方レベルの政治的パワーを握ろうと精力的に活動していたにもかかわらず、地方選第一期は最終的に3つの主要政党が支持される結果となった。ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派コングレス党(ネパール会議派)ネパール共産党統一毛沢東主義派である。

ネパールが地方選挙を行えるようになるまでに20年の歳月がかかった。2002年にはマオイストの暴動により実施できず、2006年には主要政党が地方選挙のボイコットを決断したためである。

今回の2017年の地方選挙は、投票率が70パーセント以上にものぼった。連邦体制になってネパール国民が地域の代表を選ぶのは、これが初めての機会である。2015年の新憲法の公布によって、連邦政府・州政府・地方政府の三層体制が導入された。

進まない開票作業

しかしながら選挙管理委員会に対し、開票作業が遅々として進まないという批判が方々から寄せられている。

以下は風刺漫画家のラジェシュKC氏のツイートだ。

別の風刺漫画家氏ラビンドラ・マナンドルのツイート。

写真:開票速報

風刺漫画家アビン・シュレシュタ氏は、カトマンドゥに地下鉄を引くというある政党の公約を引き合いに出して「市長(mayor)より地下鉄(metro)が先に来そうだ」というメッセージの風刺漫画を投稿した。

本日のカンティプール紙より……

女性候補が続々当選

開票作業は遅れてはいるが、地方選挙第一期では女性候補がいくつかの市町村の議会において首長や区長、副首長や副区長として当選を果たしている。4市町8村の議会で女性候補が首長や区長として選出されたのだ。

そして263の市町村で副首長や副区長として女性候補が選ばれている。その上、ダリット・カースト(いわゆる不可触民)出身の6,500人を含む13,000人の女性が区議会議員に選出されたのである。

カトマンドゥ市では、21歳の女性候補者ランジュ・ダルサナ氏大量票を獲得したほどだ。

いまだ大政党の優位は続く

しかしながら、ほとんどの議席はネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派、コングレス党(ネパール会議派)、ネパール共産党統一毛沢東主義派の三大政党に集中した。ネパールには100近くの政党があるのにもかかわらずだ。

ソーシャルメディアの利用者は、レストランのメニューを時間をかけて見てもモモチョウメンを選ぶというネパール人の習慣に例えた(訳注:共に代表的なネパール料理)。

大衆はメニューを全部見て、何を食べるか長々考えた後、最後にはモモかチョウメンを選ぶのだ。それが今回の地方選挙。

2017年6月1日に追記 副首相兼内務大臣のビマレンドラ・ニディ氏の発言によると、地方選挙第二期は6月28日に調整され、内閣で速やかに実施の決議をとる予定である。

校正:Yuko Aoyagi

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