バングラデシュでは荒れ狂う パッドマ川の影響で未曽有の土壌浸食が生じている。そのため、ダッカ管区シャリアトプール県ナリア分区内の広大な地域が水没している。
パッドマ川は、上流域においてモンスーンによる強雨が長期にわたり継続したため、いま増水に見舞われている。ナリア分区内の5,000以上の世帯と500以上の企業が、最近数か月の間に 土地と家財を失ったと、リリーフウェブは伝えている。モフタール・チャー地区の3,000世帯は、1週間ですべてを失った。家屋以外に、多くの道路、橋、排水溝、事業所、商店そしてその他生活に必須な基盤が水没してしまった。
The #River #Padma devours a three-storey building in Shariatpur's Naria upazila. #Erosion of this river bank has taken a serious turn; 4,000 families become homeless in few months.@riverine_people @ClimateHist @ErosionCntrlMag @ClimateAdapt@Climatebriefing @ErikSolheim pic.twitter.com/lYSn9nBbnL
— mohammad azaz (@mohamma64508589) September 8, 2018
シャリアトプール県ナリア分区でパッドマ川が3階建ての建物を飲み込む。河川堤防の浸食により深刻な変化が生じている。すなわち、数か月のうちに4,000世帯が家を失った。
The Padma devours a 200-year-old village overnight and reduces a 300-year-old Mulfotganj bazar into ruins at Naria, Shariatpur, Bangladesh. Photos by @ShafiqAlam1, Dhaka Bureau Chief, @AFP. pic.twitter.com/1W341YTErl
— Nazmul Ahasan (@nazmul_ahasan_) September 13, 2018
パッドマ川は、200年続いた村を一晩で飲み込み、バングラデシュ、シャリアトプール県ナリア分区で300年続いたマルフォートガンジのバザールを壊滅させる。写真:AFP通信社ダッカ支局長シャフィクル・アルマ
Dataful.xyz(非営利データジャーナリズム事業)は、アメリカ地質調査所が提供している衛星写真のデータをもとに、動画を作成した。この動画によりパッドマ川が過去10年間に周囲をどのように浸食していったかを確認することができる。国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)は、この川の浸食により、バングラデシュに知らずしらずの内に災害が忍び寄っていると考えている。
大規模な構造上の損害
The Padma river has eroded approximately 0.4 sq km near Naria Upzilla (Shariatpur) in last few weeks. A quick analysis using satellite images shows at least three mosques, one health complex, one school, and one bank have been partially or totally engulfed by the Padma river. In the meantime, approximately 1.5 km of road and hundreds of houses and commercial infrastructure were lost although 2018 has not yet been a flood year in that area.
パッドマ川沿川の住民は、パッドマ川は最近の数週間のうちにナリア分区(シャリアトプール県)近傍の約0.4平方キロメートルの区域を浸食した。衛星画像を用いた簡易分析によると、少なくとも、3か所のモスクと健康管理センター、校舎、および銀行の各1つが、パッドマ川に部分的に、または、完全に飲み込まれてしまったことが分かる。また、この地域は2018年の洪水シーズンをまだ迎えていないのに、すでに約1.5キロメートルの道路、100軒の家屋および商業施設が失われてしまった。
今回損傷評価を行った場所は、
政府の対応には幾つかの疑問点も
バングラデシュ政府は、パッドマ川の溢水(いっすい)箇所に砂のう類を積み上げた。しかし、川岸の 脆弱部を大規模に破壊して流出する大量の流水や流木等をくい止めるには十分な機能を果たしていない。また、政府は災害対策本部を39か所に設置して、被災者のために食料と避難所を提供している。
2018年前半に政府は、洪水及び堤防浸食リスク管理計画に2億5,
ネットワーク市民のM.A.ラティフは下記のように記している。
…The devastating erosion of the Padma river is ongoing for the last couple of years, no initiative to build a dam or embankment was taken by the local administration. A big portion of Naria Upazila Health Complex and a mosque adjacent to the hospital already washed away…
……パッドマ川による壊滅的な浸食が、この2、3年間進行している。それなのに地方行政機関には、主体的にダムまたは堤防を築造しようとする姿勢がうかがえない。ナリア分区健康管理センターの大部分とこの病院に隣接したモスクが流れにさらわれてしまった……。
政府は浸食を受けた地域を被災地区に指定すべきである、そしてこれ以上の被害が生じないように堤防を築造すると共に河川の浚渫を始めるべきであると、ラティフ氏は提言している。下掲の動画は、市民が川岸を防護するために常日頃、懸命に努力している様子を示している。Riverbank erosion: a persistent problem
河岸の浸食:絶えることのない問題
環境・
ジャーナリストのムハンマド・ヌール・アラム・ラジュとアフロザ・タゼニンはデイリー・スター紙のオプ・エド(Op-ed)欄に下記のように記している。
The government initiative is mainly focused on some subsidy programmes including relief distribution, Vulnerable Group Feeding (VGF), Vulnerable Group Development (VGD), etc., however, these programmes are often inadequate, disorganized, politicized, ad-hoc and ineffective; thus there is much scope for improvement of government initiatives.
The government should include river bank erosion disaster in its five-year programmes and a clear vision should be set for addressing it.
政府の政策は、社会的弱者への食料配布事業(VGF)や社会的弱者進展事業(VGD)など困窮者への救済金配布といったある種の補助金行政に主な重点を置いている。しかし、これらの政策は、まとまりを欠いていたり、政治利用されたり、その場しのぎだったり、はたまた非効率であったりして、本来の目的を十分に果たしていないことがしばしばある。したがって、政府の政策には改善の余地が多く残っているといえる。
政府は堤防浸食災害復興事業を五か年計画の中に取り込むべきである。そして、その事業に取り組む姿勢を明確に示すべきである。