コートジボワール:国内での品薄をよそに、豊かに実るレッドパーム

コートジボワールのアビジャンにあるファーヤ市場で、レッドパームオイルを売るコートジボワール人の行商人コッフェ・ポーリーンと彼女の家族。キャッサバ、パイナップル、パパイヤなどの新鮮な果物や野菜も扱っている。ジェスリーン・レムケ(筆者)が撮影した動画からのスクリーンショット

コートジボワールは最近、原生林をこれ以上脅かすことなく、パームオイルの生産量を3倍に増やす計画を発表したが、収穫量も少なく栽培できる土地も減少しているため、その計画は「現実味に欠けるのではないか」と、ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)は、2019年の論説で述べている。

「これまでのやり方はもはや持続可能ではありません。」コートジボワール農業省の代表であるシアカ・クリバリはさらに次のようにRFIに語った。「従来のような大規模な生産は不可能です。たとえ古い荒れ地を開拓してでも、既存のプランテーションが、少ない面積でより多く生産できるようにする必要があります。」

ソース・グレーヌ(Sauce graine)。コートジボワールで最も人気のあるソースのひとつで、レッドパームオイルから作られる。 2014年10月22日 
Aboukam 撮影写真  ウィキメディア・コモンズから転載 CC BY 2.0.Aboukam via Wikimedia Commons, CC BY 2.0.

精製パームオイルは世界的に取引されているが、原初のレッドパームの木は西アフリカの森が原産地である。コートジボワールを含むこの地域では、多くの人たちが、今でも彼らの祖先と同じように、未精製でより栄養価の高いレッドパームオイルを使ってコートジボワール料理を作っている。

手動の圧搾器か簡素なすり鉢とすりこぎを使って、コートジボワールの女性たちは、油気のある緋色の実をつぶし、料理につかう真っ赤なオイルを搾りだす。

家庭では、女性たちが果汁とオイルを搾り、 ソース・グレーヌ(Sauce graine)と呼ばれる芳醇でフルーティなソースを作る。この油っこいソースには、食事に適した栄養豊かな果汁、抗酸化物質そして果実のオイルが損なわれることなく含まれている。

Indexmundi(訳注:統計情報サイト)によれば、コートジボワールは精製パームオイルの生産量で世界11位である。アフリカ諸国の中ではナイジェリアに次いで2位となっている。RFIによれば、コートジボワールのオイルの約75%が国内で消費され、残りは近隣諸国に売られている。自家消費用レッドパーム栽培から商業生産まで含めると、コートジボワールの人口の約10%がパームオイル産業に従事している。

グローバル・ボイスのジェスリーン・レムケは、コートジボワールを訪問し、市場でレッドパームオイルを売る女性たちやレッドパームオイルを使って石けんを作る人たちに話を聞いた。この短いYouTubeビデオはその時の様子である。

このようなにぎわいのある広大な市場に行くと、女性たちが露店を構え、再生利用ペットボトルに詰められたレッドパームオイルを売っているのをよく目にする。レムケは、コートジボワール人の行商人コッフェ・ポーリーンと彼女の家族に話を聞いた。彼らは、アビジャンにあるファーヤ市場で、レッドパームオイルのほかに、キャッサバ(訳注:キャッサバ芋、タピオカの原料)、パイナップル、パパイヤなどの新鮮な果物や野菜も扱っている。

市場の他の行商人と同様、ポーリーンは、量に応じて1~2米ドル相当額で手作りオイルを販売している。より精製されたゴールデンパームオイルと異なり、レッドパームオイルには濃厚なトマトのような香りがあり、ビタミンBおよび鮭や人参に見られるオレンジ色の成分と同じ種類のカロテノイドを豊富に含んでいる。

レムケはまた、コートジボワールのディボ郊外で長年石けんを作っている作業場も訪れた。そこでは カバクルー(kaba-kuru)と呼ばれる石けんを生産している。この石けんはレッドパームオイルを使って作られるが、時にはココアバターが使われることもある。この鮮やかな黄色の球形をしたボリュームのある石けんは、特にコートジボワールの人たちが洗濯に使っている。また、近隣のアフリカ諸国、ブルキナファソとナイジェリアにも売られている。

コートジボワールのディボでレッドパームオイルから石けんを作る女性たち。ジェスリーン・レムケが撮影した動画からのスクリーンショット

ここでは、女性たちが水酸化カリウムの溶液とレッドパームオイルを計量している。この2つの液体を混ぜると、鹸化(訳注:けんか。油脂をアルカリで加水分解すること)して粘り気のある黄色いペーストになる。まだ水分を含んでいるうちに丸めて玉を作り、他の石けんとともに積み上げて乾かす。このラフな製法の石けんは洗濯用には十分な洗浄力があるが、肌用には強すぎる。

皮肉なことに、コートジボワールではパームオイルが不足しており、生産量で世界をリードするアジア諸国から多くを輸入している。

Gro Intelligence(訳注:農業に関するデータ・サービス提供サイト)は、世界のパームオイル産業を「世界規模での『綱引き』」と形容している。

On the one hand, the practical benefits offered by palm oil have become a ubiquitous part of the lives of consumers; and the industry has helped pull many out of poverty. On the other hand, palm oil producers, in many cases, are leaving environmental devastation in their wake.

パームオイルは消費者の生活のあらゆる場面で役に立っており、パームオイル産業のおかげで多くの人が貧困から救われてきた。その一方で、多くの場合、パームオイル生産地は環境破壊の爪痕を残している。

しかし、依然としてコートジボワール料理やカバクルー石けん製造における未精製のレッドパームオイルの消費は伸び続けている。

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