さまざまなインドの男女が描かれている(1823~1838年 アンドレア・ベルニエリのスケッチ ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
昔の人物や場所の様子を伝える画像のおかげで、私たちは世の中がどれほど変化したかに気づく。古写真を見ると、今よりも質素に暮らしていたであろう日々に逆戻りした気分になる。そして、次から次へと現れる色あせた建物の外観や見慣れない服装から、往時の人々の暮らしぶりに思いをはせる。
2016年1月初旬、ニューヨーク公共図書館が18万枚を超えるデジタル資料をパブリックドメインで公開した。利用者はこれらの所蔵資料を無料で閲覧したりダウンロードでき、しかも編集して付加価値をつけたり新たな資料として公開することも可能だ。
アジアや南太平洋地域の写真やスケッチなどのデジタル資料からは、当時植民地だった国々の人々の暮らしぶりが見えてくる。分離独立以前のインド亜大陸の建物や人々の服装を垣間見ることができる貴重な資料なのだ。
インド全土でみられる壮麗で美しい数々の宮殿は、さまざまな時代にその地域を治めていた皇帝が建てたものだ。宮殿なら写真で見たことがあるという人も、写真が普及する前は宮殿がどんな姿をしていたのか気になったことはないだろうか? とにかく見てみよう。
川から眺めたアーグラ城のスケッチ(1859年 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
アーグラ城砦(さい)内にあるジャハーンギール宮殿は、ヒンズー建築と中央アジア建築が融合した姿をしている。この宮殿は、ムガル帝国の皇帝アクバルが築いたもので、主にラージプート出身の妻たちの館だった。
デリーにある国王の宮殿(1859年 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
デリー市の中心にある赤い城(デリー城)には、1857年までの約200年間ムガル帝国の皇帝が住んでいた。長い年月をかけて増築された城だ。
当時の人々はどのように暮らしていたのだろう。ここに王族とお付きの人たちを描いたスケッチや絵画がある。
インドの統治者と女性(1876~1888年 シャタニョン画 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
デリーの近衛師団長(1845~1847年 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
踊り子たち インド中東部リーワーの宮廷にて(1863~1868年 ヤコブ・エトリングによる版画 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
インド上流階級のイスラム教徒女性(1823~1838年 アンドレア・ベルニエリのスケッチ ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
また、当時の一般の人々を描いたものもある。
朝の祈りをささげるバラモン(1851年 Day and Son制作のリトグラフ ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
カースト第2階級(訳注:原文ママ)の学者(1899年 シャルル・ラプラントの版画 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
インドの人々 マラバル海岸にて(ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
チーターと飼い主 ジャイプルにて(1894年 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
インドの男女(1876~1888年 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
現存する世界初のカメラ写真は1827年のものだ。そのしばらく後に、インドでも写真が撮られるようになった。19世紀に撮られた珍しいインドの写真を紹介しよう。
インドの金細工職階級(スナール)の人(1868~1875年 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
インドのマドラスで働く鍛冶職人(1868~1875年 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
市場の女性ディルジャン サハーランプルにて(1868~1875年 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
ラージプート族(1868~1875年 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
インドのヘビ使い(1897年 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
インドの女性ストリートミュージシャン(1898年 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
こちらは当時の儀式や祝い事の様子だ。
コルカタの火葬場(1869~1871年 ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
インド南部のイギリス植民地で行われた住民の結婚式 花嫁付添人が教会から戻ったところ(1887年1月27日 シモン・デュランのスケッチ ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)
インドの結婚式(写真はエドウィン・ロード・ウィークス ニューヨーク公共図書館デジタルコレクションより)