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祝 世界詩歌記念日ーペルシャからあなたの心に詩の直行便

ニザーミー・ギャンジェヴィ作「ライラとマジュヌーン」の物語を基にしたアゼルバイジャン共和国のフォークアート作品 CC BY 3.0.

この記事は3月21日(世界詩歌記念日)に投稿されたものです。

旧ソビエト連邦で唯一ペルシャ語が話されているダジキスタン共和国の住人なら、家族や友人たちと共に過ごした楽しくにぎやかな夜をどのように描くだろうか。

そんな場合、おそらくディラフルーズという言葉を使うだろう。字義通りにとらえると「心に火をつける」という意味だ。

しかしひとり落ち込んで夜を過ごしたなら、ディタングという言葉を選ぶかもしれない。これで「胸がしめつけられる」ことが伝わるだろう。

詩の伝統がある国では、「恋に落ちる」という意味をさまざまに表現できる。例えば、執着心をあらわすディル・バスタンであったり、はやる心という意味のディル・ガム・ゼイダンなどだ。

同様に、人の恋心をかき立てる人はディーラボ(心を盗む人)と呼んでもいいだろう。逆に人の心を凍らせることはディ・クヌク・ジュダンと言われる。これは「ふられる」という意味を少し大げさにしたものだ。

恋ごころ、そして詩に溢れた言葉!

タジク語はイラン(ファールシー語)とアフガニスタン(ダリー語)で話されているインドーイラン語派と密接な関係がある。ファールシー語では、「心」を表す文字はデルという発音に近い。ダリー語ではディルというがこれはタジク語に似ている。

ペルシャ語が話されている地域を示すMani1による世界地図 提供 クリエイティブ・コモンズ

さらに言えば、上の地図が示すユーラシアの小地域にかけて、ディルと言う言葉(今でもダジキスタンで使われているキリル文字では 「дил」と表記)は少なくとも紀元1千年紀から続く豊かな詩の伝統の源流となっている。

この伝統の最も有名な継承者のひとりがジャラール・ウッディーン・ルーミーだ。彼は13世紀に生きた放浪する言葉の錬金術師かつ哲学者であり、ペルシャ語圏のあらゆる民族に愛されている

Ҳар чӣ дар дил дорӣ аз макру румуз,

Пеши мо расвосту пайдо ҳамчу рӯз

心にどんな秘密や嘘を秘めていても

まるで白日の下、すべてお見通しだ

心は国を越えて……

しかしルーミーのロマン主義は12世紀に活躍した吟遊詩人、ニーザーミー・ギャンジェヴィの前には霞んでしまう。

ギャンジェヴィは、現在のアゼルバイジャン共和国の一部であるギャンジャ(彼の名は文字通りギャンジャのニザームという意味)の出身だ。

ニザーミーの叙事詩「ホスローとシリーン」から二行連詩をいくつか紹介しよう。ここではサーサーン朝の王(ホスロー)がアルメニア王女シリーンの心を勝ち取ろうと、恋敵のファルハードと詩の手合わせをしている。

Бигуфт: Аз дил шудӣ ошиқ бад-ин сон?

Бигуфт: Аз дил ту мегўӣ, ман аз ҷон.

Бигуфто: Ишқи Ширин бар ту чун аст?

Бигуфт: Аз ҷони ширинам фузун аст!..

Бигуфто: Дил зи меҳраш кай кунӣ пок?

Бигуфт: Он гаҳ, ки бошам хуфта дар хок…

Бигуфт: Аз дил ҷудо кун ишқи Ширин.

Бигуфто: Чун зиям бе ҷони ширин?

(問)心から恋に落ちたのか

(答)心ではなく魂からだ

(問)いつ王女の愛を忘れるのだ

(答)死んで地下に眠る時

(曰)シリーン王女の愛を心から追い払え

(答)愛する魂なしでどう生きていくのか

ダジキスタン共和国のルーダキー記念碑 提供 クリエイティブ・コモンズ ジュリアン・ガルバートによるフリッカー画像より

さらに時代を紀元858年から紀元941年までさかのぼると、パンジケント(現在のタジキスタン)のルーダキーがいる。彼をペルシャ詩のゴッド・ファーザーとみなす人もいる。

Бар ишқи туям на сабр пайдост, на дил,

Бе рӯйи туям на ақл бар ҷост, на дил!

Ин ғам, ки марост кӯҳи қоф аст, на ғам,

Ин дил ки турост, санги хорост, на дил!

あなたの愛に自制心も心も奪われたわたし

あなたの美しい顔を見て気も心も乱されたわたし

この心に秘めた哀しみ、それはまるで山のよう

あなたの胸に潜む心はまるで石のよう

かつてはペルシャの専有だった詩人たち。しかし21世紀の現在、インターネットとソーシャルネットワークのおかげで、その作品出版が激増している。

21世紀のタジキスタン人詩人フィルダス・アザムは、よくフェイスブックを使って節を発表している。例えばこんな風に。

Рӯзе миёни хотираҳо гумном мешавам,
Аз чашми хотирот бигирӣ суроғи дил.

Хилофи майли худам аз баҳор дил кандам
Ки додаанд ба пойизи сард пайвандам.

いつか私もなつかしい思い出のひとつか

愛する人よ探してほしい、思い出の中にわたしの心を

心ならずも春には心を寄せないわたし

それは冷たい秋の思い出を忘れられないから

 祝 世界詩歌記念日!

1999年、国際連合は世界詩歌記念日を3月21日と定めた。この日はユーラシア大陸の多くの地域で春分を祝う日でもある。

この決定は偶然の一致ではなさそうだ。国際連合がこの日付についてどのような考えを持っていたのか。ユネスコ前事務局長イリナ・ボカバの「詩歌は文化の創造エネルギーを血肉化するもの。なぜなら絶えず新しいものに生まれ変わることができるから」という評言にその手がかりがある。

ペルシャ語圏の人々にとって、ノウルーズ(訳注 イラン暦の元旦)は1年で最も重要な日のひとつだ。というわけで、ノウルーズが大きく貢献してきた詩歌の伝統が、その日に認められるなんてとても象徴的な感じがする。

昔から言われるように、これはまさに「以心伝心」ではないか。

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