ジャマイカの「ママさんロケット」、シェリー=アン・フレーザー=プライス 史上最速の短距離女子選手

スコットランドのグラスゴーで行われた2014年コモンウエルスゲームズの女子400mリレーチームで金メダルを獲得したジャマイカの選手。右がシェリー=アン・フレーザー=プライス、他のメンバーはケロン・スチュワート、ベロニカ・キャンベル=ブラウン、シロニー・カルバート パウエル  写真撮影マーク。 フリッカーから転載  CC BY-NC-ND 2.0

オリンピックで2度優勝したことのあるシェリー=アン・フレーザー=プライスは、暖かな土曜の午後、ジャマイカのキングストンのナショナル・アリーナで行われた︎女子100m競技で、史上第2位の記録を出した。結果は驚異的な10.63秒で、これまでの ジャマイカ最高記録10.70秒を更新した

体型を巧みに表現した「ポケット・ロケット」(フレーザー=プライスの身長はわずか152㎝)というニックネームは、今や「ママさんロケット」という新たなニックネームに取って代わられた。34歳のフレーザー=プライスは、2017年に男児ジオンを出産した後わずか9か月でトラックに戻ってきたのだ。

6月5日のレースの後、フレーザー=プライスは次のようにツイートした。

厳しいトレーニングがついに報われました。素晴らしい記録を残せました。でも、まだまだ頑張ります。

彼女は、キングストンでリポーターに次のように語った

I’m at a loss for words because 10.6 has been a dream, a goal. I’ve been working so hard, been so patient and to see it finally unfold, I’m just ecstatic.

10秒6は私がいつも夢に描いていた目標でした。それが︎達成できたので言葉が出てきません。一生懸命練習もし、我慢もしてきました。そしてついに夢が実現したのです。今は最高の気分です。

10.63秒は、アメリカの故フローレンス・︎グリフィス・ジョイナーが1988年のソウル・オリンピックの女子100mで出した記録を破る新記録である。彼女は同オリンピックで3つの金メダルを獲得したが、︎ジャマイカ人の多くは、ジョイナーは同オリンピックでドーピングをしていたとして、︎彼女の記録を無視している。

シェリー・アン・フレーザー・プライス??
10秒63??? 女子史上第2位の記録だ。でも、︎私の考えでは世界新記録だ!!。︎ジョイナーの記録なんか無視していい・・・・・ドーピングをやってたんだから。

サネード

いまは引退している現在世界第3位の記録を持つアメリカの短距離選手カーメリタ・ジーターは、2009年に100mで10秒64を出した。フレーザー=プライスは、彼女を最強のライバルとみなしているそのジーターはお祝いの言葉を次のようにツイートしている。︎

素晴らしいニュースにびっくりして飛び起きました。フレーザー=プライスがまたやってのけたのです。やってくれると確信していました。子供を産んだ後カムバックして、世界にやる気と才能を示しました。︎誰が見たって世界最速の女性アスリートです。︎このような花形選手たちがやる気を持ち続けるよう励ましましょう

オリンピックメダリストの友人、ウサイン・ボルトもツイートしている。

おめでとう。︎初めからやってくれたね。

ジャマイカのスポーツファンは、フレーザー=プライスの新記録達成に興奮している。地元のスポーツ・ジャーナリストは次のようにツイートしている。

10秒63達成後、トラック脇で喜びをあらわにするシェリー。

ジャマイカ首相アンドリュー・ホルネスも、ツイートに加わった。

シェリーは、才能・鍛錬・決意が目標達成のための必須条件だということを明確に示した。

世界に向けた我が国の大使を誇りに思う。

これまでの国内記録を破り、現役最速の女子アスリートになったことを祝います。

キングストンのウォーターハウス出身のフレーザー=プライスは、ジャマイカでは非常に人気がある。魅力的だが控えめな性格の彼女は、努力を惜しまない︎アスリートとして高く評価されている。彼女のファンの一人はフレーザー=プライスの決意の固さを次のように述べている。

フレーザー=プライスは、つま先を負傷して低迷していた時期を乗り越えレースに戻ってきた。彼女のやり抜く力、鍛錬、集中力、一途な心、謙虚さ・・・・・・が復帰の原動力になったのだ。

フレーザー=プライスは多くのジャマイカ国民のお手本であり、ジャマイカ・ユニセフ協会の親善大使でもある。彼女はジャマイカの子どもや母親を支援するためネットサービスを使い、女性への励ましの言葉をしばしば載せている。

走ると心が休まります。しかし、母親としての務めには、走るのとは別の︎喜びがあります。︎普段から女性を褒めたたえましょう。女性は褒められて当然なのです。

フレーザー=プライスは、現在 ジャマイカ国内大会に備えトレーニングをしているが、その先には東京オリンピックが控えている。一方、家族は彼女を支える重要な役割を果たしている。

「ママさん」はこれまでで最高のニックネームです。

何はともあれ、ジャマイカ国民は、引退など当面の間考えていないフレーザー=プライスのおかげで、これからも栄光の日々が続くものと考えている。

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