アニメが告発するミャンマーの児童労働と若年女性問題

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アニメーションビデオ『私は、学校へ行きたいです』のプロモーション用ポスター ニャンチェーセー氏のフェイスブック画像より

アニメーションビデオ『私は、学校へ行きたいです』のプロモーション用ポスター
ニャンチェーセー氏のフェイスブック画像より

ミャンマーのアーティスト、ニャンチェーセー氏は、自身がプロデュースした複数のアニメーションビデオの中で、ミャンマーで多数の子供や若年女性が陥っている困難な社会状況に光をあてている。

『私は、学校へ行きたいです』というタイトルのアニメでは、一緒に学校へ行くことを夢見る男子児童とその妹が、男女不平等や貧困、戦争、児童虐待、児童労働、人身売買といった様々な障害のために、学校に通う夢を壊されていくというストーリーを展開している。

この動画は『人権と尊厳の国際映画祭 2015』で最優秀アニメーション賞を受賞した。ILO (国際労働機関) アジア太平洋総局が先月 (訳注:2016年7月)、ミャンマー児童保護促進キャンペーンの一環としてこの作品を推奨している。

ミャンマーでは、10人に1人の子供が児童労働にたずさわっており、そのうち半分以上が危険な仕事をしているという調査結果が、複数報告されている。また、半数近くの子供たちが初等教育を終えていない。

以下は、アニメ『私は、学校へ行きたいです』

ニャンチェーセー氏は、これ以外にも『私が欲しくない私の人生』というタイトルのアニメーションビデオを手がけている。人生で直面する性的虐待や差別、人身売買といった困難な状況を乗り越えようとする若年女性が、ミャンマーには多数存在しており、その女性たちの身に起きていることをアニメーションは細部まで映し出している。次の動画は『私が欲しくない私の人生』の正式予告編

ニャンチェーセー氏はインタビューの中で、ミャンマーのように現在民政へ移行する過程にある国において、アーティストが果たすべき役割について語ってくれた。

The role of artists is very important for every country, because aside from pointing out the realities, they can also make people feel those realities and make the public understand. For Myanmar, since the eyes of most Myanmar people were closed by the previous military-backed governments for many decades, they became lost and didn’t even know that they were lost. In such case, art is a strong way to make their eyes open. Also, because of that, during those years, many artworks dealing with politics, social issues, economy, and government matters were censored. Now, since Myanmar is in rapid transition and transformation with the new government, and as artists are now given the freedom to create, art becomes more important for the people to see and feel the reality, and motivate them to make changes in society.

いかなる国においてもアーティストの果たす役割は重要です。現実を明らかにするほかにも、明らかになった現実を人々が自分の身に引き付けて感じとり、そして深く理解するように強く働きかける役目を果たすからです。
ミャンマーに関して言えば、大部分の人々は何十年にもにわたって前軍事政権により目隠しされているも同然の状態に置かれた結果、人々は何も見なくなり、ついには自分たちには視力が備わっていることさえ気づかなくなったのです。自分たちには目が付いていて、物を見ることができる事を人々に思い出してもらうために、アートは強力な手段となります。あるいはそのような理由があったから、政治や社会問題、経済、政権を題材とした芸術作品が、軍事政権下の長い間、検閲され続けてきたとも言えるのです。
現在ミャンマーは新政権のもと急速に変わりつつあります。創作の自由を付与されたアーティストは、人々が現実を見て、感じて、こんな社会を変えいきたいという意欲をかき立てるために、その果たすべき役割は重要です。

ニャンチェーセー氏は、自分のようなアニメ制作者が、これからもミャンマーで重要な役割を担い続けると確信している。

For animation, we have to keep trying far to survive, since the animation market and animation knowledge in Myanmar is still not well-developed yet. However, I can see positive movements in Myanmar like the rising number of young animation artists. I believe we can do it for the development of animation culture in Myanmar.

アニメについて言えば、我々は生き残りをかけてさらに挑戦していかなければなりません。なぜならミャンマー国内のアニメ市場の拡充やアニメに関する情報の蓄積は、まだ十分とは言えないからです。一方で国内に明るい動向もいくつか見受けられます。たとえば若手のアニメ制作者が増加してきていることです。ミャンマーでアニメ文化が発展するように、我々はこれからも挑戦していけると思っています。

ニャンチェーセー氏 Facebookより

ニャンチェーセー氏 Facebookより

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