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スーダン:ICCのバシル大統領訴追に対するアフリカブロガーの反応

Mariko Yagi, Hanako Tokita 共訳

注:この記事はJohn Liebhardtとの共著

スーダンの大統領、オマール・ハッサン・アル・バシルを複数のジェノサイド、戦争犯罪、人道に対する罪で起訴するという国際刑事裁判所(ICC)の最近の勧告に対し、世界中のブロガーが反応を示している。


ダルフールのサン・オウアンジャで食料の配布を家族とともに待っている難民の子どもたち 写真:hdptcarにニコラス・ロスト/UNHCR提供

背景

3年に渡る調査を経て、国際刑事裁判所(ICC)の検察官ルイス・モレノ・オカンポは、スーダンのオマル・ハッサン・アハマド・アル・バシル大統領を同国ダルフール地方での10つのジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪で正式に起訴することを求めようとしている。6年前に設立されて以来、ICCが現職の大統領に対して訴追を行ったのは初めてで、アル・バシルと政府の報道官は、訴追を拒否し、この件に対抗するため外交的手段を用いると主張した。スーダンは、ICCの設立条約であるローマ規程に署名しているが批准はしておらず、このことはICCに協力する義務がないことを意味する。

アルゼンチン出身のモレノ・オカンポ[En]は、アル・バシルは5年以上にわたってスーダンのジャンジャウィード民兵などの武装勢力に対し、ダルフールの各々の3つの民族集団の村を攻撃し破壊するよう命令し、難民キャンプで現在生活しているおよそ250万の市民を追いやったと主張する。国連は、戦闘と病気がおよそ45万人の人びとの命を奪ったと推定する。検察官は、政府の指揮下で軍隊が強かんや飢餓を利用し、人びとを土地から追い出すと脅した証拠があると語る。

アル・バシルの件は、国連安全保障理事会が2005年、米政府が「ジェノサイド」[En]と称するダルフール紛争でのスーダン大統領の役割を調査するようモレノ・オカンポに要求したことから始まる。

アル・バシルは、スーダン当局によって逮捕されるべきだが、3人のICC裁判官(それぞれガーナ、ラトビア、ブラジル出身)は申し立ての検討を始め、公判を開くかを決定する。この再審理は、最長3か月ほどかかる可能性がある。

アル・バシルは、スーダン当局によって逮捕されるべきだが、3人のICC裁判官(それぞれガーナ、ラトビア、ブラジル出身)は、申し立ての検討を始め、公判を開くか決定するだろう。この再審理は、3か月くらいかかるかもしれない。

スーダンから

スーダンからは、北ダルフールで活動する援助員、Too Huge Worldは、18日、起訴のニュースを待つことを手榴弾の爆発を待つことに例えた。

このような起訴が意味する可能性は多くありうんざりする。ハルツームの路上での反西洋の暴動から、政府に後押しされた国連に対する攻撃、そして多くの、もしくはすべての国際組織を排除まで。

手榴弾が爆発するのを待っているような気さえする。

21日、別のエントリで、バシルがダルフール地方の治安に対する罪で起訴されるべきであるという勧告の影響について書いている:

今のところ、私たちは国際職員や国際組織に対する攻撃を目撃していない。反発は今のところハルツームやエル・ジャネイラ(西ダルフール)の繁華街でのいくつかの大規模な組織的抗議運動とエル・ファシェルでの小規模で中途半端な抗議運動くらいで、ニャラ(南スーダン)では何もおきていないようだ。実際、想像通り、ダルフールの人びとの多くが政府に対してそれほど同情していない。したがって、アラブ系の部族や、もしくはアラブ系の民兵が集中する地域が主に問題となるだろう。

消極的な出来事がないことを今のところは、長期的には他の影響が生じないだろうと期待する指標とすべきでない。私たちは待つ。次の24時間がおそらく最も重要となるだろう。

Sudanese Thinkerは、治安に対する不安と起訴を支持する市民に関して国連を非難している

本当に愚かなのは、ICCと共に物事をここまでひどくやりくりしている国連の職員である。ICCは現在、騒ぎを引き起こし警備を強化させている。

[…]ICC の活動を支持する理由を教えて欲しい。起訴を支持しているスーダンの人びとは、感傷的になっている。

Sudan Watchのイングリート・ジョーンズは、10か月間のブログ上の沈黙を破り、再検討を要求する公開書簡を投稿した。

ICC殿 不公正な裁判は絶望的な結果を招く恐れがあるので、多くのチャドやスーダンの人びと、平和維持軍、人道活動家、そして援助と保護を最も必要としている人びとのため、スーダンのバシル大統領またはスーダン政府の職員を起訴しないで下さい。


ダルフール、サム・ウアンジャの難民女性。写真:hyptcarニコラス・ロスト(Nicolas Rost)/UNHCRが提供

アフリカブロガーの反応

この問題について声を上げたアフリカの指導者たちの多くはICCの動きに反対している。エジプトの外相は、スーダンのケースを「いい加減」に扱えば混乱を増やすだけだと懸念した。南アフリカ政府はバシルが逮捕されることはないと認めた。

アフリカ連合の議長国であるタンザニアは、ICCに対しダルフールの状況と南部スーダンの脆弱な平和が正常な状態に戻るまで命令を見合わせるよう要請した。これを受け、亡命リベリア人ジャーナリスト、エマヌエル・アバロ(Emmanuel Abalo)は、アフリカの指導者達はまたもや独裁者の見方をしていると言って怒った。

アフリカ連合が掲げるこの「アフリカの連帯」や「主権の保護」などというたわごとは、加盟国が行き過ぎた行為に対してはっきり正々堂々と声をあげる勇気が必要である場合は特に、人間としての品格と率直さに反するものだ。

民主的に選出され良い統治を行なっている一部のアフリカ指導者たちにとってジレンマなのは、最近のジンバブエのケースの様に、人権侵害や独裁政治についてそれぞれの見解を示すものではない声明を、アフリカ連合が彼らを代表して発表してしまうことだ。そしてその結果、一部の加盟国にとってはきまりが悪いことに、世界の他の大陸のグループがアフリカ連合の信頼性に公然と異議を唱えることになる。

Codrin ArseneはAfricanLofで、考慮するべき問題について書いている:

遅かれ早かれ、ジャンジャウィードは報復する。国連はすべての非軍事スタッフをダルフールから引き揚げ、ナイロビに移動させるべきだと思う。

アルゼンチンも警戒態勢を最高度へと上げるべきだと思う。ここではジェノサイドで告発されてるアラブ国家のことを言っているのだ。復讐するためにはどのような取引でもするくらい自暴自棄な軍でもある。だからアル・カイーダとの取引だって十分可能性がある。

私はスーダンの大統領を起訴しようというモレノ・オカンポ氏の決意に感服するが、彼は注意しなければいけない。彼の命は確実に危険にさらされている。彼は世界で初めて、ジェノサイドでの告訴を行なったのだ。

ケニアのNairobi Notebookは、この見込まれる起訴においての国連の役割について思考している:

今のところ一番支持されている議論は、バシルを裁きにかけようというモレロ・オカンポの試みは、ダルフールの人びとの苦しみを和らげることはなく、さらなる「流血と暴力」を約束ただ事態を煽るだけだというものだ。

時計を少し巻き戻して考えてみれば、モレノ・オカンポにスーダン当局者調査の許可を出したのは国連の安全保障理事会だ。

アメリカ在住の南アフリカ人The Angry Africanは、ICCの逮捕状は効力を持たない可能性があり、米国のジョージ・ブッシュ大統領の責任が問われるということを指摘している。

(バシルは)ICCに対してブッシュ大統領と同じ論議を使っている。両人ともICCにはいかなる管轄権もないと主張している。彼らはICCを認めていないのだ。この法廷はセルビアの戦犯を扱うことができた唯一の法廷だった。しかしブッシュ大統領はアメリカ市民に対しての特例を求めている。彼はすべての人びとは法のもとにおいて平等であるべきだけど、中には他の人よりももっと平等な人たちがいると言っている。彼は、たとえ人道に対する犯罪やジェノサイドを犯したとしてもアメリカ人が裁判所に責任を問われるのを嫌がっている。そう、他は皆ICCに管轄されるべきだと。アメリカ人だけ別に。アメリカ人は世界で一番の権利を持っていると本当に信じているの?アメリカ人は法を免れるべき?ICCにアメリカ人が起訴されることはないと私は思う。主戦主義者や独裁者が対象になっているけど、皆が同じ法の適用を受けるようにするべきではないのか?

ブッシュ、たのむよ。あんたは私たちの味方であるか敵であるかのどっちかだ。ダルフールの流血はあんたに責任がある。私たちにどんな選択の余地を残したというの?あんたは誰かが法的手段を取ろうとするのを嫌がっているみたいだね?銃弾を放ちながら突入していく方がよっぽど簡単だよね。あんたが前例を作ったんだ。スーダン侵攻–世界中は彼が極悪でサダム・フセインよりも悪い奴だと思っている。誇りに思うがいい–あんたとスーダンの大統領には共通点がある–自分の遺産を誇りに思っているといいんだけど。

ウガンダ在住のケニア人ジャーナリズム学生でAfrican PathのVictor Ngenyは、逮捕状は効力が弱すぎて何の役にも立たないと主張する:

ルイス・モレノ・オカンポ氏は使命を持った男だ。彼はバシル氏の逮捕状を取りたいと思っている[En]。ささいなことだと思うかもしれないが、バシル氏がスーダン大統領であり、中国が彼を公然と支援しているという細かい点を考慮すると、オカンポ氏の努力が無駄となることは明らかだ。国際刑事裁判所検察であるオカンポ氏の主張は、バシル氏がダルフールで自国民に対しジェノサイドを行なったということだ。そして、スーダンが裁判所に協力していないという小さな問題もある。

ICCが出した初めての逮捕状はウガンダ北部の抵抗組織神の抵抗軍に対するものであったということもあり、ウガンダ人ブロガーはICCの動きについてコメントするにあたっておそらくアフリカの中でも珍しい立場にあるだろう。ウガンダ北部での経験が豊富な政治学者Chris Blattmanは、スーダンとウガンダにおけるICCの行動を比較している:

もうたくさんだ、あんな奴は気にせずにとっ捕まえてしまえと言いたいところもある。でも、起訴状は視野が狭く選挙で選ばれた機関ではなく、その存在と妥当性のために戦っている(そしていくつもの失敗を埋め合わせようとしている)ICCによって使われたぶっきらぼうな手段だ。私はICCの理論は支持するが、この地域での平和を含め大きな視野を念頭にいれずにこのリスクを伴った決定がなされたことは心配だ。

ICCのオカンポは厄介者で目立ちたがり屋という評判があって、アルゼンチン大統領の座を狙っているとも言われている。この評判は、短絡的で、リスクを伴い、情報と計画が不十分で面倒を起こしそうになった、ウガンダ北部でのICCの活動に対する私の印象と合致する。

オカンポはまた短絡的にひとりで行動しているのか?そうではないと願いたい。現職の大統領を起訴するというほど深刻なことは、世界の指導者と国連の間でのハイレベル(おそらく秘密の)話し合いの一環であってほしい。私はとりわけ、大規模な国連活動や、いくつかの和平への試みが行なわれ、今にもいくつかの戦争が始まりそうで、アフリカ連合の平和維持軍(そして何千人もの外国人人道活動家)がいる国家について語るとき、そう願う。

Ugandabeatは、ICCの発表に対する地元メディアの反応を説明している:

国際刑事裁判所は、昨日、スーダン大統領オマール・アル・バシルをダルフールでのジェノサイド、人道に対する罪、そして戦争犯罪で起訴した。主要日刊紙が一面で「指名手配」や「バシル、ジェノサイドで指名手配」という見出しの隣にバシルの顔写真をに使うなどし、このニュースはウガンダを揺り動かした。スーダンはウガンダの隣国であり、そしてスーダン南部とウガンダの政治はいつも絡み合ってきた。

[…]もちろん、状況は複雑だ。私が気に入っているウガンダ人学者(実のところ、全般的に好きな学者)マムード・マムダニは、間政府やNGOがダルフールでの戦争をジェノサイドと呼ぶ理由、特にジャンジャウィードの悪者扱いについてずっと批判的でいる

Gay Ugandaは、ICCの起訴状が現地の状況どのような影響を与え得るのかについて考えている:

世界には矛盾がないわけではない。スーダンのバシルがダルフールのジェノサイドの罪に問われているが、現実的な政治家たちはスーダン大統領が召喚されれば、独立以来常に社会不安が続いてきたこのアフリカ最大の国には一層の不安が広がるだろうと指摘している。

スーダンの悪夢は私の人生よりも長く続いている。それでもダルフールは彼を起訴するには十分ではないのか?いつになったら私たちの指導者は責任をとるのか。いつになったら「安定」という名の下にこの大陸を欺き続けるのを止めるのか。

まあ、とにかく。安全保障理事会でさえジンバブエの件に対応できなかった。ロシアは、メドベージェフがG8サミットから戻った時に叱責されたか?中国にとっては、ただたんにプラチナや金などの財宝だけ。世界が変われば変わるだけ、もっと変わらないでいる。

その他の反応

The Social Science Research CouncilはブログMaking Sense of Darfurに、この議論について素晴らしいガイドを載せている。中には以下の様な質問が含まれている:

モレノ・オカンポは世界の人権とスーダンのために勇気ある重要な一歩を踏み出している。これはまた賛否両論あり危険をはらんでもいる。これは残虐行為の犠牲者に代わっての虐殺と破壊を指揮した男に対しての道義的な一撃である人権にとっての歴史的勝利となるのか?またはスーダンを混乱と流血の渦に巻き込むであろう正義と平和の必要性の衝突となるのか?

モロッコ在住のカナダ人旅行作家Daniel Sturgisは、ICCの動きは正しいかもしれないが、平和的解決のチャンスを台無しにしてしまうかもしれないと主張している:

法的観点から見ると、スーダン高官の人道に対する犯罪での起訴を進めるというICCの決定は、まったく正しいものだ。

モラル的観点から見ると、この決定がスーダン政府を激怒させれば、国連はこの副次的影響を防ぐことはできない。孤立したスーダンの指導者たちは、彼らに対する抑制と均衡がいらいらするほど効果がないことよりもずっと危険だ。

Mideast Youthに寄稿しているAli Alarabiには、この起訴はダルフールの政治問題の解決には役に立たない試みのようだ。ダルフールでの人道的大小は高いが、スーダン政府には国境を保全する権利があるとAlarabiは指摘する。しかし、大きく裕福な国家はスーダン指導者を罰するために国際法のうしろに隠れている。

国際法は西側諸国の水準に基づいて不正行為を行なっていると見なされた弱い第三世界の国々を罰するためにあるように見受けられる。この問題が示すように、国際法は小さく無力な国に対する大国の利益と力を守るためにある。エネルギー供給、アラブとイスラエルの紛争における立場、そしてイラクに対する見解のこととなると、スーダンは西側諸国によって作られたルールに従っていないと見なされている。

日本語の参考リンク

関連のニュースなど 
スーダン:ICCの告訴がもたらす希望と不安 (JanJan 2008/07/27)
スーダン : 大統領への逮捕状は重要な一歩 (アムネスティ・インターナショナル 2008/07/14)

ブログ
http://darfur-news.seesaa.net/article/102928001.html

http://d.hatena.ne.jp/Stiffmuscle/20080716/p1
http://ameblo.jp/pmc-h-ceo/entry-10115772535.html
http://fujiism.se.aichi-edu.ac.jp/blog/?p=67

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